メーカー別に見ると、トヨタの10月のグローバル生産台数は、前年同月比0.8%減の89万3164台と9カ月連続のマイナスだったが、減少幅を前年並みまで戻した。落ち込みが目立っていた国内生産が回復したのが要因で、同8.3%増の30万6059台と3カ月ぶりにプラスへ転じた。
認証不正問題のヤリスクロスや「カローラフィールダー」「カローラアクシオ」の生産を9月に3カ月ぶりに再開したことに加えて、2023年10月に系列サプライヤーでばね製品を生産する中央発條の藤岡工場で爆発事故が発生し、最大10日間の稼働停止を実施した反動増も表れた。
一方、低迷が続く海外生産は、前年同月比4.9%減の58万7105台と8カ月連続で前年実績を下回った。地域別で見ると、中国は、依然として続く厳しい販売競争により同8.7%減となり、9カ月連続で減少。ただ、中国で生産する5社の中では唯一の1桁パーセント減にとどめた。
中国以外のアジアは、ローン審査の厳格化などにより主力拠点のタイ(前年同月比12.8%減)やインドネシア(同5.8%減)が低迷したほか、インドも旧正月で稼働日が前年より3日少ないことにより同8.2%減と減少。その結果、アジアトータルでは同7.4%減と9カ月連続で前年実績を下回った。
また、主要市場の北米は、運転席エアバッグのリコールにより「レクサスTX」と「グランドハイランダー」の生産停止が続いていることから、前年同月比7.2%減と3カ月連続で減少した。欧州も、英国がゼロエミッション車規制で同40.8%減と低迷していることなどにより、同5.0%減と2カ月ぶりのマイナスだった。
8社の中で最も台数を落としたのがホンダだ。10月のグローバル生産台数は、前年同月比15.9%減の34万777台と3カ月連続のマイナスだった。このうち海外生産は、同17.1%減の27万4705台と3カ月連続で減少。8社の海外生産で唯一の2桁パーセント減となった。
中でも中国は、EV市場の競争激化により販売が低迷。これを受けて生産調整を実施したほか、生産能力の適正化を目的に広東省広州市にある広汽ホンダの第4工場を閉鎖。その結果、10月の中国生産は前年同月比45.9%減と半数近く減らし、3カ月連続で前年実績を下回った。アジアトータルも同35.6%減と6カ月連続で減少した。販売が堅調な北米は同0.7%増と2カ月連続のプラスだった。
国内生産も伸び悩む。前年同月比10.6%減の6万6072台と、2カ月ぶりに前年実績を下回り、8社で最大の落ち込みとなった。前年が新型「N-BOX」の投入に合わせて増産対応していたことの反動が表れた。輸出もアジアや欧州向けが低迷し、同12.4%減と2カ月連続で減少した。
日産自動車の10月のグローバル生産は、前年同月比6.3%減の29万848台と5カ月連続のマイナス。8社の順位では9月に続きスズキを上回り3位だった。このうち国内生産は、同3.8%減の6万4516台と8カ月連続のマイナス。北米の主力モデルである「エクストレイル/ローグ」の台数を減らしたことが響いた。
海外生産はさらに落ち込み、前年同月比7.0%減の22万6332台と5カ月連続で前年実績を下回った。米国は「ローグ」の台数減により同15.0%減と6カ月連続のマイナス。一方、メキシコは新型「キックス」が増加したことで同12.0%増と3カ月連続で増加した。中国は同15.0%減と低迷が続いており、5カ月連続のマイナス。英国も「キャシュカイ」の減少により同22.8%減と5カ月連続で減少した。
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