前述の、企業が品質や顧客満足を重視する経営の仕組みのことを「品質マネジメントシステム(Quality Management System)」といいます。
品質を重視した、マネジメント(経営)のシステム(仕組み)というわけです。 企業対企業、B to Bの取引では、取引相手の企業がちゃんとしているかどうかを判断するのに与信や品質マネジメントシステムの有無を確認することになります。
企業が、全体として品質保証に必要な資源を用意しているか、なにか問題が起きたときにその情報を収集し、根本原因を追及して解決し、再発を予防するようなPDCA(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Action=改善)を回しているか、「我が社はちゃんとします」ということが経営方針として明確になっているか、というような「ちゃんとした会社」に求められる要求事項を決めた国際規格が品質マネジメントシステム規格です。
航空宇宙業界 AS/EN 9100(JIS Q 9100)
医療機器業界 ISO 13485
自動車業界 IATF 16949
B to Bの購買者も、求める品質が保証されるかを確認するにはまず大きなところから、どんどん焦点を絞りながら「ちゃんとしているか」を確認していきます。製造業者が部品を調達する場合、例えば以下のような流れになります。
(1)組織の妥当性:この企業はちゃんとしているか
例:資本金などの社内与信が通ったし、ISO 9001の認証を受けている。ある程度ちゃんとしているな。
(2)工程の妥当性:この製品の製造工程はちゃんとしているか
例:我が社の品質保証部が工程監査のため訪問し、ちゃんとしていることを確認した。
(3)製品規制等の適合性:この製品が該当する法規制や業界規制をちゃんとクリアしているか
例:この製品は無線機器だが、該当の適合認定を受けている。
(1)品質マネジメントシステムと(2)品質保証システムは両方必要です。
顧客が要求する品質を保証するための条件は以下のようになります。
・該当工程を含む品質マネジメントシステムがあり、機能している
かつ
・該当工程に品質保証システムがあり、機能している
詳しくは連載第2回「品質保証システムとその前提である品質マネジメントシステムの関係とは」をご覧ください。
我が社は品質保証をするぞ、と決めたら最初にすることは、関連工程に品質マネジメントシステムを実装して運用することです。次にすることは品質保証システムの構築です。
品質保証システムを構築する、とは「ここに頼んだら期待を裏切られない」、と顧客に思ってもらうような仕組みを作ること。また、その証拠を示せるようにすることです。
関連する全ての工程が、いつも品質を満足させられる状態、ちゃんとした状態になるようにしていくのが品質保証システムの構築です。
詳しくは連載第2回「品質保証システムとその前提である品質マネジメントシステムの関係とは」をご覧ください。
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