「G-SHOCK」のリサイクルプラとバイオプラの活用法とは?環境配慮材料の活用に挑戦する企業(2/2 ページ)

» 2024年11月13日 08時00分 公開
[遠藤和宏MONOist]
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1つ1つデザインが違うG-5600BGシリーズ

MONOist G-SHOCKシリーズの環境配慮材料の活用事例を教えてください。

齊藤氏 G-SHOCKシリーズでリサイクルプラスチックを活用した製品として「G-5600BG」シリーズを、バイオプラスチックを用いた製品として「GD-010」と「GA-010」のシリーズや「ICERC Japan コラボレーションモデル 2024」のシリーズを紹介する。

 2024年4月6日に発売したG-5600BGシリーズは、当社が販売している腕時計のパーツ製造過程で発生した赤や黄の廃棄樹脂を前述の粉砕機により粉砕加工したリサイクルプラスチックを練りこんだプラスチックをベゼルやバンドに採用している。同シリーズのDW-5600BGに含まれているリサイクルプラスチックの量は全体の約20%で、モデルによってリサイクルプラスチックの含有量は異なる。

「G-5600BG」シリーズの「G-5600BG-1JR」 「G-5600BG」シリーズの「G-5600BG-1JR」[クリックで拡大]

齊藤氏 開発に当たっては、デザイナーが製造現場に足を運び赤や黄のリサイクルプラスチックをどのくらい配合すると、良好なデザインになるかを確かめた上で設計した。

 G-5600BGシリーズの大きな特徴は赤や黄のリサイクルプラスチックが配置される部分が同じ製品名の製品でもそれぞれ異なり全く同じデザインがない点だ。一般的に大量生産する同じ製品名の製品はデザインが同じでなければならない。この考え方を変えたのは「MT-G」シリーズの20周年記念モデルとして2019年に開発した腕時計「MTG-B1000RB」だ。

 MTG-B1000RBシリーズではイオンプレーティング(IP)加工により各製品のベゼルに1点ずつ異なる着色を施し、華やかな印象に仕上げた。IP加工とは蒸発させた物質を他の物質の表面に薄く付着させることで着色させる手法だ。1点ずつベゼルの色が異なるMTG-B1000RBは多くの顧客に評価され、それぞれのデザインが全く同じではなくても優れていれば価値につながると分かった。こういった知見も生かしてG-5600BGシリーズを発売できた。

「MTG-B1000RB」 「MTG-B1000RB」[クリックで拡大] 出所:カシオ計算機

 GD-010とGA-010のシリーズは寿命約10年の大容量電池を搭載したシリーズで、ケース、ベゼル、バンドなどの主な樹脂パーツに、バイオプラスチックを採用している。モジュールを守るケースの素材には強さと軽さを併せ持つカーボンファイバー強化樹脂を活用している。両シリーズは、G-SHOCKの耐衝撃構造、20気圧防水に加え約10年の電池寿命により長期間の使用に応じる。

「GD-010」シリーズの「GA-010-1AJF」(左)と「GA-010」シリーズの「GD-010-4JF」(右)[クリックで拡大]

 ICERC Japan コラボレーションモデル 2024シリーズは国際イルカ・クジラ教育リサーチセンター(ICERC Japan)とコラボレーションした製品だ。1996年にブームを起こした「イルカクジラモデル」の30周年記念モデルで「GMD-W5601K※1」「GW-8201K※1」「GW-6904K※1」の3モデルから成る。同シリーズはベゼル、バンドの主な樹脂パーツにバイオマスプラスチックを採用していることに加えて、太陽光や蛍光灯などのわずかな光も動力にするタフソーラー電池も備えている。同シリーズのパッケージにはリサイクル素材を使用し環境に配慮したスペシャルパッケージを採用している。

※1:「GMD-W5601K」「GW-8201K」「GW-6904K」の3モデルは既に完売している

ICERC Japan コラボレーションモデル 2024シリーズの「GW-8201K-7JR」 ICERC Japan コラボレーションモデル 2024シリーズの「GW-8201K-7JR」[クリックで拡大]

MONOist 今後のG-SHOCKシリーズの環境配慮材料活用について教えてください。

齊藤氏 今後も当社では環境配慮やブランドイメージの向上を目的にG-SHOCKシリーズでリサイクルプラスチックやバイオプラスチックの活用を行う。加えて、環境に配慮した企業とのコラボレーションやごみ拾い活動などのイベントも実施する考えだ。

カシオ計算機の齊藤氏 カシオ計算機の齊藤氏[クリックで拡大]

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