東北大学らは、光起電力材料や量子材料の探索に最適化したAIモデルを開発した。従来の手法よりも最大100万倍の速さで、材料の結晶構造から周波数依存の光学スペクトルを直接出力し、材料の特性を予測できる。
東北大学は2024年10月15日、光起電力材料や量子材料の探索に最適化したAI(人工知能)モデル「GNNOpt(Graph Neural Network for Optical Spectra)」を開発したと発表した。従来の量子シミュレーションに比べ、最大100万倍の速さで、材料の結晶構造から周波数依存の光学スペクトルを直接出力し、材料の特性を予測できる。
同大学と米マサチューセッツ工科大学の研究グループは、アンサンブル埋め込み法により、自動的に入力情報の埋め込み表現を最適化するグラフニューラルネットワーク(GNN)を構築。この埋め込み層は、最適な表現と材料を自動的に照合する機能を有し、比較的少ない944件のデータセットでも高品質な光学スペクトルの予測が可能となった。
また、同モデルは、クラマースクローニッヒの関係式を活用し、誘電関数の実数部や虚数部から、吸収係数、屈折率、反射率など、周波数依存のすべての光学スペクトルを抽出できる。5281件の未知の結晶構造に適用した検証では、太陽電池に適した高性能材料の特定に成功した。
さらにf‐総和則により、量子性の高い量子材料を複数同定し、量子特性の評価が可能だ。
研究グループは、機械的特性や磁気的特性など他の材料特性にも同モデルを応用できると見込んでいる。今後、さまざまな材料特性に対するデータベースを構築し、材料構造から物性を予測するAIモデルの性能向上を図る考えだ。
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