Ansysは、NASAとともに火星探査機「パーセバランス」やヘリコプター型の探索ロボット「インジェニュイティ」の開発を進めている。地形をよりよく観察するためにヘリコプター型が検討されている。ウィリアムズ氏は「火星の空気の密度は地球上の2%しかないため難易度は高い。地上でのテストも難しいため、シミュレーションがNASAのプロジェクトに貢献している」と説明した。マルチフィジックスシミュレーションは分析を多様化し、製品のイノベーションを促進するとしている。
自動運転システム向けのツールにもNVIDIAとのパートナーシップが生かされている。自動車のADASや自動運転向けにカメラやLiDAR、レーダー、赤外線センサーなどのモデルが含まれている。ドライブサイクルを計算して、さまざまなドライブシナリオがあるときに何が起こるかを計算する。
生産工程をリアルタイムに監視するデジタルツインも構築できる。金属のプレス加工で出来上がった形状をモニタリングし、加工中に不良がないか確認することが可能になるという。
AnsysはAIのための技術開発にも取り組んでおり、「Ansys AI+」「Ansys GPT」「Ansys SimAI」を展開している。Ansys AI+は物理ベースの製品に追加される機能。Ansys GPTは大規模言語モデルを活用した仮想アシスタントだ。仮想アシスタントは、トレーニング資料やアプリケーションノートに基づいて詳しく回答する。
Ansys SimAIは、機械学習のためのプラットフォームで、シミュレーションデータに基づいてニューラルネットワークを訓練する。Ansysのデータでトレーニングされている(顧客のデータは含まれていない)。
Ansys SimAIの活用例として、ピックアップトラックの周囲の気流をシミュレーションできることを紹介した。ユーザーは手元のデータをインポートし、ニューラルネットワークのモデルを選び、ニューラルネットワークを訓練することで結果がすぐに得られる。AIのトレーニングをした後で、新しい車体の形状についてもシミュレーションできるようになる。
デザイン探索の初期段階から、形状を変えたりアイデアを試したりすることができ、その結果も数秒で得ることができる。流体力学だけでなく、構造解析やエレクトロニクスや光学的な解析にも活用できる。ウィリアムズ氏は「SimAIはデザイン探索を行う上で、素早く結果を得るためによいツールだ」と述べた。
Ansysでは毎年2つのメジャーソフトウェアリリースがあり、ポートフォリオ全体で新技術を提供する。
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