アンシス・ジャパンは、Ansysシミュレーションの予測精度と生成AIの速度を組み合わせたSaaSソリューション「Ansys SimAI」および自動車開発におけるAI(人工知能)/ML(機械学習)適用に関する説明会を開催した。
アンシス・ジャパンは2024年3月5日、Ansysシミュレーションの予測精度と生成AIの速度を組み合わせたSaaS(Software as a Service)ソリューション「Ansys SimAI」および自動車開発におけるAI(人工知能)/ML(機械学習)適用に関する説明会を開催した。
Ansysではテクノロジー戦略として、「数値計算」「ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)」「AI/ML」「クラウドとユーザーエクスペリエンス」「デジタルエンジニアリング」の5つの柱を掲げており、製品アップデートやポートフォリオの拡充に努めている。2024年1月に発表されたAnsys SimAIは、AI/MLに関する製品ポートフォリオに含まれ、シミュレーションの民主化と高速化により、エンジニアの生産性向上と製品開発の加速を支援する。
説明会では、Ansys Distinguished Engineer(上席エンジニア)のSrinivasa Mohan(スリニヴァサ・モハン)氏が、AI/MLモデルで強化されたシミュレーションの活用によるフロントローディングの実践イメージとして、自動車業界における適用例を紹介した。
自動車業界では、内燃機関のエンジン車からEV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池自動車)などへの移行や、再生材料の積極的な活用などサステナブルな取り組みが加速している。また、自動車開発におけるソフトウェアの占める割合が増え、SDV(Software Defined Vehicle)対応の重要性も高まっており、これに関連してソフトウェアの安全性、信頼性、セキュリティに対しての備えも求められている。そして、さまざまな性能の評価/測定基準なども視野に入れた開発も避けては通れない状況にある。
モハン氏は「このような変化や難しい要求を迫られる中、自動車開発に携わるエンジニアは『市場投入スピードの加速』『よりスピーディーでより大きな変革』が求められると同時に、『コスト削減』というプレッシャーにもさらされている」と述べ、これらの課題解決に役立つのが「シミュレーション技術だ」(モハン氏)と強調。シミュレーション技術を活用すれば、エンジニアが設計したものを(コンピュータ上で)具現化して、その振る舞いを予測できるようになり、コストのかかる物理テストの量や回数を減らせる可能性がある。
Ansysでは、物理ベースのシミュレーション技術を設計プロセスだけでなく、製品ライフサイクル全体にまで拡張することを視野に入れており、「Pervasive Insights with AI/ML(AI/MLによる広範な洞察)」がその実現を後押し、「エンジニアリングに革命をもたらす」(モハン氏)としている。
モハン氏はMLモデルの特長について、学習プロセスに含まれない結果を予測できること、品質とバラツキを予測できること、さまざまな物理現象に適用できること、データの主要な特徴を捕捉でき精度が高いこと、高速であることなどを挙げ、「結果を得るまでに48CPU時間かかったシミュレーションが、MLモデルだとわずか数秒で結果を予測できたケースもある」(モハン氏)と説明する。
シミュレーションとAI/MLの組み合わせがエンジニアリングにもたらす効果として、モハン氏は「エンジニアはシミュレーションや物理テストにかける時間を削減でき、これまで以上に製品について学ぶことができる。また、あらゆるデータを統合して表示することで、より高いレベルの洞察が得られるようになる。設計だけでなく、製品開発全体でAI/MLを活用することで、エンジニアおよび製品開発チームは重要な決定を短時間で、自信を持って下せるようになるだろう。その結果、品質を一切損なうことなく、開発時間を半減できるようになる」と述べる。
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