アンシス・ジャパンはグローバルイベント「Ansys Simulation World 2023 Japan」を開催。“人類の進歩を促進するイノベーションに力を”をテーマに多数の講演を展開した。本稿では基調講演の内容を中心にお届けする。
アンシス・ジャパンは2023年11月22日、グローバルイベント「Ansys Simulation World 2023 Japan」をオンラインで開催した。“人類の進歩を促進するイノベーションに力を”をテーマに、Ansysのビジョンやシミュレーションを取り巻くトレンドなどを紹介する基調講演の他、ユーザー企業によるAnsysのソリューションの活用事例、業界有識者による講演など多数のセッションを展開。より一層高まるシミュレーション活用の重要性や、あらゆる産業分野で広がるAnsysのソリューションの有効性などについて訴求していた。本稿では同イベントのうち、基調講演の模様を中心にお届けする。
基調講演では、アンシス・ジャパン Area Vice President カントリーマネージャーの大谷修造氏が「人類の進歩を促進するイノベーションに力を」をテーマに、Ansysのこれまでの歩みや近年のシミュレーションニーズの高まり、Ansysミッションなどについて説明した。
Ansysは、構造、熱流体、電磁界などのいわゆる物理シミュレーションから、MBD(Model Based Development)/MBSE(Model Based Systems Engineering)や安全性分析、大規模なSoS(System of Systems)レベルに至る複雑なシミュレーションまで、広範囲なシミュレーションソリューションを展開しており、全世界5万社以上の企業ユーザーを抱えているという。
大谷氏は「企業がさらなる技術革新や複雑化する製品開発などに対応していくためには、広範かつ先進的なシミュレーション技術の活用が不可欠だ」とし、Ansysとして、シミュレーション技術の高度化に向けた製品開発を進めるとともに、積極的なM&A、戦略的パートナーシップなどを通じて、今後さらに拡大していくユーザーニーズに応えていく方針を示す。
また近年、製造業を中心とした各産業では、製品/サービスの企画から、コンセプト設計、研究開発、製品設計、製造、そして運用/保守に至るまでのエンジニアリングチェーンにおいて、シミュレーションの重要性がより一層高まっており、「特に、製品/サービス企画から仕様検討、コンセプト設計の段階で、コストの70〜80%が決まってしまうことから、製品開発の早い段階でシミュレーションを適用する動きが加速している」(大谷氏)という。
こうした動きはいわゆる「シフトレフト」と呼ばれるアプローチであり、大谷氏は「この段階でより多くの可能性やオプションを検討し、そのデータを運用/保守に至るまで連携することでデジタルスレッドが形成され、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に大きく貢献することになる。つまり、シミュレーションによるシフトレフトがDXの実現を加速させるといっても過言ではない」と強調。Ansysではこの考えに基づき、各産業に適したシミュレーションソリューションを広く提案し、多くの顧客企業のDX推進を支援してきたという。
さらに、Ansysは製品開発、設計における洞察や予測を支援するシミュレーション技術によって、さまざまな業界のイノベーティブな製品開発や限界を超える挑戦を支援し続けており、これからも人類の進歩を促進するイノベーションの創出を後押ししていくとしている。そして、こうした考えを行動の指針とし、顧客企業に対してさらなる価値を提供し続けられる存在になるべく、「これから先、今後50年のAnsysの使命を『Powering Innovation that Drives Human Advancement(人類の進歩を促進するイノベーションに力を)』として再定義した」と大谷氏は説明する。
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