日本TIは2024年10月22日、オンラインで会見を開き、新開発のPLD(プログラマブルロジックデバイス)である「TPLDファミリー」を発表した。6デバイス/8パッケージの品種をそろえており、最大40のロジック素子を構成することができる。
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2024年10月22日、オンラインで会見を開き、新開発のPLD(プログラマブルロジックデバイス)である「TPLDファミリー」を発表した。6デバイス/8パッケージの品種をそろえており、最大40のロジック素子を構成することができる。既にサンプル出荷を開始しており、量産出荷は2024年12月の予定。1000個注文時の単価は0.19〜0.52米ドルで、評価基板は69米ドル、書き込みツールのUSBプログラマーは59米ドルとなっている。
TPLDシリーズは、8ピン/SOTパッケージの「TPLD801」、10ピン/VSSOPパッケージの「TPLD1201」14ピン/SOTパッケージの「TPLD1202」の3品種を中核に、車載半導体の規格であるAEC Q-100を取得した同パッケージの「TPLD801-Q1」「TPLD1201-Q1」「TPLD1202-Q1」がある。TPLD1201とTPLD1202については、外形寸法が1.6mm角で12ピン/QFNパッケージの品種も用意している。
TPLDファミリーは、ANDアレイとORアレイを用いてロジック回路を構成するシンプルなPLDである。汎用入出力、ルックアップテーブル、デジタルフリップフロップ、パイプディレイ、フィルター、RC発振器などをサポートしている。PLDとしての基本機能を搭載するTPLD801は、はんだ付け可能なリード付きパッケージで外径寸法が2.1×1.6mmとなっており、競合デバイスと比べて92%の小型化を実現している。
また、TPLD1201は、TPLD801と同じPLDとしての基本機能に加え、選択可能な内部電圧レファレンスやヒステリシス機能を搭載したアナログコンパレータなどのアナログ機能を統合している。さらに、TPLD1202は、SPIやI2C、ウォッチドッグタイマー、ステートマシンなどの付加的な機能も搭載している。
TPLDファミリーは、静止電流が1μA未満で、アクティブ時の電力も競合デバイスと比べて50%少ない。このためバッテリー動作製品の動作時間の延長に役立つという。動作温度範囲も、車載用や産業用で求められるー40〜125℃をサポートしている。
TPLDファミリーの回路プログラミングは、無償で提供されるツール「InterConnect Studio」を用いれば、VerilogやVHDLなどのHDL(ハードウェア記述言語)を用いることなくノーコードで設計できる。InterConnect StudioはGUIベースのツールであり、部品をドラッグアンドドロップで接続して微調整を行うだけで回路を構成できる。米国TI ロジック製品 システム マネージャのホセ・ゴンザレス氏は「HDLによるコーディングだと30分かかるが、InterConnect Studioを使えば2分で完了する」と強調する。
TIは広範なロジック製品を60年にわたって展開してきたが、PLDを市場投入するには今回が初のこととなる。例えば、TPLDファミリーを使うことで、ディスクリートロジック部品で構成するCANバスのアービトレーション回路の部品数を80%、面積を94%、受動素子数を50%削減できるとし、その効果の大きさを示している。
米国TI ロジック製品 プロダクト マーケティング マネージャのルーク・トローブリッジ氏「車載用や産業用の要件を満足する小規模のPLDは選択肢が限られていたが、TPLDファミリーはその課題を解決し得る。InterConnect Studioによるノーコードでの回路構成も高い評価が得られるのではないか」と述べている。
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