日本TIが、数mm角サイズのパッケージ内にインダクターを内蔵するとともに最大6Aの電流を取り扱えるパワーモジュールの新製品を発表した。新開発の磁気部品内蔵パッケージング技術「MagPack」の活用により、前世代品と比べて50%、競合他社品と比べて23%の小型化を実現したとする。
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2024年8月6日、オンラインで会見を開き、数mm角サイズのパッケージ内にインダクターを内蔵するとともに最大6Aの電流を取り扱えるパワーモジュールの新製品を発表した。新開発の磁気部品内蔵パッケージング技術「MagPack」の活用により、前世代品と比べて50%、競合他社品と比べて23%の小型化を実現したとする。この他、電力変換効率の向上、熱抵抗の引き下げ、安全動作領域の拡大、電磁ノイズの低減なども果たした。既にサンプル提供を行っており、1000個注文時の参考単価は1.33米ドル、評価ボードは49米ドルとなっている。
今回発表したパワーモジュールの新製品は「TPSM82866A」「TPSM82866C」「TPSM828303」「TPSM82816」「TPSM82813」「TPSM81033」の6品種だ。TPSM81033は5.5V/5.5Aの電流制限昇圧モジュールで、TPSM82866AとTPSM82866C、TPSM82816は最大6A、TPSM828303とTPSM82813は最大3Aの電流に対応する降圧モジュールとなる。
パッケージサイズはTPSM82866AとTPSM82866Cが2.3×3mm、TPSM828303とTPSM81033が2.5×2.6mm、TPSM82816とTPSM82813が2.5×3mmで、フットプリントは6.5〜7.5mm2と小さい。最大6Aの電流を扱えるTPSM82866AとTPSM82866C、TPSM82816については、1mm2当たりの電流密度が1A近くに達するなど業界をリードするレベルだという。
小型化しただけでなく前世代品と比べて電力変換効率も2〜4%向上している。TPSM82816の場合、電力変換効率が4%向上しているだけでなく、熱抵抗の17%引き下げや、安全動作領域の10℃引き上げなども実現している。
新たなパッケージング技術であるMagPackは、新たなプロセスと新設計の素材を採用した磁気部品を組み合わせて半導体パッケージ内部のスペースを有効活用できるようになっている。これにより前世代品と比べて大幅な小型化が可能になった。また、全面シールドパッケージの採用により、前世代品と比べて電磁ノイズを最大8dB低減している。なお、MagPackの開発はTIの研究機関であるKilby Labs(キルビーラボ)とのコラボレーションにより実現したという。
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