ルネサス エレクトロニクスが5000ゲート以下のロジックを必要とするアプリケーションを対象とする低消費電力かつ低価格のFPGA「ForgeFPGAファミリ」を開発し、ローエンドFPGA市場に参入すると発表。大量発注時に1個当たり0.5米ドル以下での販売を計画している。
ルネサス エレクトロニクスは2021年11月17日、5000ゲート以下のロジックを必要とするアプリケーションを対象とする低消費電力かつ低価格のFPGA「ForgeFPGA(フォージエフピージーエー)ファミリ」を開発し、ローエンドFPGA市場に参入すると発表した。大量生産されるコスト制約が厳しいコンシューマー製品やIoT(モノのインターネット)アプリケーションなどに向けて、大量発注時に1個当たり0.5米ドル以下の低価格帯での販売を計画している。第1弾として、待機時の消費電流が20μA以下となるLUT(ルックアップテーブル)が1000個の製品と2000個の製品を開発しており、同日から1000個LUT品のサンプルとβ版開発ツール、プロトタイプの開発キットの提供を開始した。1000個LUT品の一般発売は2022年第2四半期を予定する。
ForgeFPGAは、これまでのFPGAがカバーしきれていないコストに敏感なアプリケーションに向けて、小規模なプログラマブルロジックを迅速かつ効率的に設計できることを特徴とする。これによって、従来はコスト的にFPGAを使用できなかったアプリケーションをターゲットにローエンドFPGA市場の開拓が可能になるという。
FPGAの導入が進まない原因の一つが、一般的な組み込みソフトウェア技術者にとってハードルが高いハードウェア記述言語(HDL)に関する知識が求められることだ。ForgeFPGAの開発ツールは、HDLの一つであるVerilog環境で開発を行える「HDLモード」に加えて、FPGAの開発経験が浅いユーザー向けに、回路図のキャプチャーをベースとする開発フローを採用した「マクロセルモード」を用意した。これによって、幅広いユーザーが開発コストを抑えながらForgeFPGAを活用することができるとしている。
ForgeFPGAは、ルネサスが2021年8月に買収を完了したDialog Semiconductor傘下の旧Silego Technologyのプログラマブルミックスドシグナルデバイス「GreenPAK」チームが開発を担当した。既に10億個以上のデバイスが出荷されているGreenPAKと同様に、ライセンス料が無償の開発ツールとアプリケーションサポートをグローバルに提供する。
ルネサスは、ユーザーによる製品の設計の加速と早期の市場投入を実現するソリューション「ウィニング・コンビネーション」の展開を強化している。小規模のプログラマブルデバイスであるForgeFPGAは、既存のICだけでは実現できない周辺機能を実現するのに最適であり、ウィニング・コンビネーションに積極的に取り入れていく方針である。
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