ルネサス エレクトロニクスは、2021年8月31日に買収を完了した英国Dialog Semiconductorとのシナジー効果や、近年注力している製品の早期開発に役立つソリューション「ウィニング・コンビネーション(ウィニングコンボ)」の新たなラインアップについて説明した。
ルネサス エレクトロニクスは2021年9月1日、オンラインで会見を開き、同年8月31日に買収を完了した英国Dialog Semiconductorとのシナジー効果や、近年注力している製品の早期開発に役立つソリューション「ウィニング・コンビネーション(ウィニングコンボ)」の新たなラインアップについて説明した。
Dialogの買収金額は約48億ユーロ(1ユーロ130円換算で約6240億円)。この買収によりルネサスは、Dialogが手掛けるPMIC(パワーマネジメントIC)や低消費電力のミックスドシグナルIC、Wi-Fi、Bluetoothなどの通信技術、フラッシュメモリ、CMIC(コンフィギュラブル・ミックスドシグナル)など、2017年のIntersil、2019年のIDTの買収では得られなかった製品ラインアップを手に入れた。そしてシナジー効果として、クロスセルや新たなウィニングコンボの投入による売上高増加で約2億米ドル(約210億円)、事業統合による業務効率化で約1億2500万米ドル(約131億円)、合計約3億2500万米ドル(約341億円)の創出を見込んでいる。
ルネサス 執行役員常務兼IoT・インフラ事業本部長のサイレシュ・チッティペディ(Sailesh Chittipeddi)氏は「M&Aで重要なのは新たな人材の獲得だ」と指摘する。これまでルネサスはIntersilやIDTを買収してきたが、まだ研究開発人員の半数以上が日本の拠点に在籍している。しかし、欧米を中心に研究開発拠点を広く展開するDialogの約1800人の研究開発者が加わることで、ルネサス史上初めて日本の比率が半分以下になる。「人材を各地域にバランスよく配置することが、グローバル展開を強化する上で重要だ」(チッティペディ氏)という。
また、Dialogの買収により事業の多角化を進められることも大きな効果だ。ルネサスの事業は、自動車向けのオートモーティブ事業と、非自動車向けのIoT・インフラ事業から構成されており、特に車載マイコンやMPUの高いシェアなどからオートモーティブ事業の印象が強い。しかし、Dialogの買収によって、売上高比率でオートモーティブ事業が41%、IoT・インフラ事業が59%となり、IoT・インフラ事業の存在感が高まる。これにより、IoT・インフラ事業を成すIoT、インフラ、産業の3分野の果たす役割も大きくなるというわけだ。
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