FPGAに関するさまざまなテーマをお届けする本連載。記念すべき第1回はFPGAの概要と各年代のエポックメイキング、そして最新動向を紹介する
いま主流のFPGAの原形となるデバイスが、商用の半導体製品として最初に発表されたのは1985年11月のこと。FPGAは今年(2010年)で満25歳になったといえます。また、1990年前後には、ザイリンクス、アルテラが相次いで日本法人を設立。FPGAの本格的な日本上陸からおよそ20年が経過したことになります。
FPGAはこの20年間、すさまじい発展を遂げてきました。そして、いま現在も進化し続けています。
連載「FPGA Watch」の記念すべき第1回では、FPGAの概要と各年代のエポックメイキング、そして最新動向を紹介したいと思います。どうぞお気楽にお読みください。
まずは、FPGAそのものについて、ごく簡単に説明しておきましょう。
FPGAは、「Field Programmable Gate Array」の略です。後半の“Gate Array”はASICの種類の1つです。ASICは、ユーザー独自の回路をIC化したもの、簡単にいえば“カスタムIC”です。そのGate Arrayが“Field Programmable”なもの、つまりフィールド(現場、その場)でプログラムができるもの、ということになります。
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フィールドでプログラムできる論理デバイスの総称を「PLD(Programmable Logic Device)」といい、FPGAはそのPLDの一種としても分類されます。その場合、別の種類に「CPLD(Complex PLD)」と呼ばれるものがあります。人によってはPLDという言葉を狭義で用いてCPLDやその基本となる構造(“Simple PLD”と呼んで区別する場合もあります)だけを示すこともあります。
さらに、半導体製品の中の位置付けとしても、FPGAはさまざまな顔を持っているといえます。FPGAは、メーカーがあらかじめ製造して市販する汎用品です。汎用品ではありますが、ユーザーのデータを書き込むことで役割が変わるという点でメモリに似ているといえます。しかし、“論理回路を作り込むことができる”という点ではカスタムLSI(ASIC)と同じ位置付けと考えることもできます。
つまり、メーカーが製造・販売するときと、ユーザーが購入するときは汎用品ですが、ユーザーの手元で回路を実装(書き込み)してシステムに搭載した時点でカスタム品となるのです。考えてみると非常にユニークな存在であることが分かります(図1)。
フィールドでプログラムできるデバイスには、1回プログラムしたら変更できないタイプ(One-Time)と、何度もプログラム変更できるタイプがあります。
半導体メモリに置き換えれば、一般にASICはマスクROMと同様なものと考えることができます。FPGAは、1度だけプログラムできるOne-Time PROMや消去・書き換えが可能なEPROM、EEPROMやフラッシュ、あるいは電源を落とすとデータが消えてしまうSRAMなど、構造や方式の違いにより多様な種類が存在します。
論理回路を作る場合の「プログラム」とはスイッチをオン・オフすること、いい換えると接続するか・切り離すかということです。FPGAの内部は、回路と配線の集合体ですが、それらをつなぐか否かをプログラムしてカスタムLSIを作るわけです。
現在、市場で使用されているFPGAの大半はSRAM方式のものですが、一部にOne-TimeのものやFlash技術を用いたものも存在します。主なメーカーは、アクテル(Actel)、アルテラ(Altera)、ザイリンクス(Xilinx)、ラティス(Lattice Semiconductor)の4社です(表1)。
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