ミニマルファブ推進機構は、「CEATEC 2024」に出展し、小型設備で半導体の多品種少量生産を可能とする「ミニマルファブ」のアピールを行った。
ミニマルファブ推進機構は、「CEATEC 2024」(2024年10月15〜18日、幕張メッセ)に出展し、小型設備で半導体の多品種少量生産を可能とする「ミニマルファブ」のアピールを行った。
ミニマルファブは、産業技術総合研究所コンソーシアム・ファブシステム研究会を中心に2010年から研究を開始。2012年にはミニマルファブ技術研究組合が設立され、両組織で研究開発を進めてきた。その後2017年に両組織を統合し、ミニマルファブの発展と普及を進めるためにミニマルファブ推進機構が設立されている。
ミニマルファブは「半導体生産を1000分の1(ミニマル)もしくは必要最小限(ミニマル)にする」ということを目指し、半導体製造の負担を大幅に軽減する独自装置や生産方法の開発を行っている。一般的な半導体製造産業は、大規模装置で大量生産をすることでコスト競争力を生み出すビジネスモデルだ。しかし、大規模化が加速し投資金額が大きくなり、多品種少量ニーズに応えられなくなるケースも増えている。ミニマルファブ推進機構ではこうしたニーズに応えることを目指している。
具体的には、0.5インチ(ハーフインチ)のウエハーを用い、それをシャトル(ミニマルシャトル)に入れることで、局所クリーン化した各プロセス装置間を簡単に搬送できるようにした。装置は全て共通筐体とし、プロセスの機能を果たす部分だけモジュールとして入れ替える形となっている。また、共通筐体であるので、搬送機構などの付加設備もモジュール化することが可能だ。これらにより、オフィスや卓上でも用いられる非常に小さく軽い製造装置で、少ない個数から半導体を製造できるようにしている。
CEATECブースでは、リソグラフィーや自動搬送のデモを披露した他、コーター、露光機、ディペロッパー、自動搬送システムなどを紹介した。産業技術総合研究所 インダストリアルCPS研究センター ミニマル施策研究チームの早川透氏は「ミニマルファブが目指すのは半導体の多品種少量生産だがプロセス間の搬送も自動化する声が多かった。自動搬送を含め工程間の自動化を行えるような周辺設備の充実に取り組んでいる」と述べている。
ミニマルファブの普及状況について早川氏は「ミニマルファブは多品種少量生産であるというだけでなく、生産プロセスの小型化により、より早く製造プロセスを回すことができるので、研究開発領域などで導入が進んでいる。また、現在半導体人材の育成などに注目が集まっているが、ミニマルファブは小規模設備で半導体製造の一連のプロセスを体験できるという点で、佐世保高専をはじめ教育現場での導入なども増えている」と語っている。
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