産総研コンソーシアム ファブシステム研究会などは「SEMICON Japan 2016」で、「ミニマルファブの開発成果を発表。同研究会などが推進するミニマル生産方式による製造装置「ミニマルシリーズ」72台を設置し、半導体製造工程のほとんどをカバーできるようになった成果をアピールした。
産業技術総合研究所コンソーシアム ファブシステム研究会とミニマルファブ技術研究組合は「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日、東京ビッグサイト)で、ミニマル生産方式の装置72台を持ち込んだ製造デモを実施。同研究会による研究成果が、現実的に使用できる領域に入っていることをアピールした。
「ミニマルファブ」はファブシステム研究会を中心に2010年から開始。「生産を1000分の1(ミニマル)もしくは必要最小限(ミニマル)にする」ということを目指し、半導体製造の負担を大幅に軽減する独自装置の開発を進めている。ミニマルファブが目指しているのはオフィスや卓上でも用いられる非常に小さく軽い製造装置の開発である。大規模装置で大量生産をすることでコスト競争力を生み出していた半導体製造業界の常識に風穴を開け、小型で柔軟な半導体製造の実現を目指している。
半導体製造業界は、高度化や複雑化が進んだことから、設備投資が巨額になり過ぎ、それが技術的な発展や革新を阻害しているという背景がある。従来の半導体製造装置による12インチクラスウエハーを対象とするような「メガファブ」を建設しようと思えば、投資金額は5000億円規模になる。一方でミニマルファブが目指すのは、オフィスクラスの施設で実現可能なハーフ(0.5)インチウエハーを対象とした投資金額5億円の世界である。
さらに密閉搬送容器を用いることでスーパークリーンルームなしで、半導体製造を行うことが可能だ。ミニマルファブ技術研究組合 顧問の加藤洋氏は「メガファブでの生産は初期に大きな投資が必要で多くの生産量を実現することでコスト削減につなげていくというビジネスモデルを取っている。その仕組みでは生産個数が少ない半導体が生産されなくなる。ミニマルファブはこうしたニーズに応えるものである。チップ生産100個から1万〜10万個をターゲットにしていく」とミニマルファブの位置付けについて語っている。
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