パナソニック、実用サイズのガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池を開発CEATEC 2024

パナソニックグループは、「CEATEC 2024 TOWARD SOCIETY 5.0(CEATEC 2024)」で、「ガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池」や環境配慮型素材「kinari/PPFRP/PALM LOOP」などを披露する。

» 2024年10月02日 08時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 パナソニック オペレーショナルエクセレンスは2024年9月30日、オンラインで記者会見を開き、パナソニック インダストリー、パナソニック エナジー、パナソニックから成るパナソニックグループが「CEATEC 2024 TOWARD SOCIETY 5.0(CEATEC 2024)」(2023年10月15〜18日、幕張メッセ)で展示する製品の一部を発表した。

1×1.8mサイズのガラス面に発電層を形成した建材一体型太陽電池

 パナソニックグループは、CEATEC2024のテーマである「AI(人工知能)」や「Sustainability」に沿った展示構成で、同グループが目指す「物と心がともに豊かな理想の社会」の実現に向けて取り組みを訴求。ブースのデザインは、「パナソニックグループが創り出す将来(AI)技術は、人が創る、人に寄り添う、有機的な存在をイメージ」したものとする。

ブースのイメージ ブースのイメージ[クリックで拡大] 出所:パナソニック オペレーショナルエクセレンス

 展示内容は「ガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池」「kinari/PPFRP/PALM LOOP」「万博においての資源循環の取り組み」「家電で取り組むGX(グリーントランスフォーメーション)」「ハイパースペクトルセンシング/3DLiDAR」「Panasonic×AI」などで構成される。

 ガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池は、独自の材料技術や塗布工法で発電層をガラス基板上に直接形成したもので、「発電するガラス」としてさまざまな建物での利用を目指している。CEATEC 2024では、建材として実用サイズである1×1.8mサイズのガラス面に発電層を形成した建材一体型太陽電池のプロトタイプを初展示する

 kinariは植物由来のセルロースナノファイバーを高濃度に樹脂に混ぜ込んだサステナブルな素材だ。CEATEC2024では地域/自治体や企業と連携してkinariを利用し廃材から成形材を作る取り組みも紹介する。

 PPFRPは100%リサイクル可能なポリプロピレン繊維強化樹脂で耐久性が高い。グラスファイバー樹脂やカーボンファイバー樹脂と異なり、容易にリサイクルできる。既に家電やバイクの部品で採用されている。

 PALM LOOPは、アブラヤシの廃材から作られた材料で、木材の代替材料として木質製品への活用に取り組んでいる。

 万博においての資源循環の取り組みでは、2025年に開催される「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」(2025年4月13日〜10月13日、大阪市)で出展するパビリオン「ノモの国」で行う資源循環の取り組みを紹介する。

 ノモの国では、使用済み家電から回収したリサイクル鉄や銅を主要部材として活用する。さらに、工場から出る端材や廃材をアップサイクルして利用する他、PALM LOOPも使う。

 家電で取り組むGXでは、ドラム式洗濯乾燥機で現在取り組んでいるGXの取り組みを展示する。具体的には、再生プラスチックの使用や梱包材における発泡スチロールレスの実現、ヒートポンプユニット搭載によるCO2排出量の削減、メンテナンスおよびリファービッシュによる製品の長寿命化の取り組みを紹介する。

 ハイパースペクトルセンシングは、複数波長の光を通し画像データ適切に「間引く」特殊フィルターをイメージセンサー上に搭載し、独自のデジタル画像処理アルゴリズムによりデータを復元できる。搭載されているソフトウェアが色を分ける機能の一部を担うことで、従来技術の課題だった波長数と感度の制約を解消。これにより、高感度のハイパースペクトル画像撮影が行える。CEATEC 2024では、搭載されている特殊フィルターの展示や動画撮影のデモを実施する。

 3DLiDARは、10m先を空間分解能mm精度で3Dモデリングできる他、空間の注目領域を高速/少データ量でスキャン可能。加えて、照明/太陽光の影響なく屋内外問わず測れ、移動体除去技術により外乱なくマップ更新が行える。CEATEC 2024では、3DLiDARに搭載されている、3Dモデリング可能なセンサーのデモを実施する。

 Panasonic×AIでは「Responsible AI」と「Scalable AI」を紹介する。Responsible AIは、顧客にパナソニックグループのAI製品やサービスを信頼して使ってもらえるように、責任あるAI活用を実践するために定めたAI倫理原則や未知の情報に対して知ったかぶらないAIの技術を指す。Scalable AIとしては、わずかなデータの入力/学習でAIを展開できるマルチモーダル基盤モデル「HIPIE」を紹介する。

 これらの他、AIカメラを備えた冷凍冷蔵庫や顔認証ソリューション、AI画像認識ソリューションなどを展示する。

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