今回の関数電卓における製品文字の視認性数値化の取り組みは、“筐体に印字されている文字の見やすさ”という教育品目ならではの非常にニッチな改善活動だが、ユーザーにとって見やすさの向上は、製品の使いやすさに直結し、最終的には製品に対する評価にもつながるはずだ。
ただ一方で、こうした改善は“当たり前のもの”として捉えられてしまうことが多く、ユーザーに気付かれにくい取り組みといえる。それでも、既に完成された関数電卓という製品を、これまで以上により良いものにしていこうとするメーカーとして強い思いとこだわりが地道な改善活動の原動力となっている。
今後の展望について、土屋氏は「関数電卓の新機種開発への適用はもちろんだが、一般電卓や電子辞書の開発にも視認性スコアのアプローチを広げていきたい。他にも、腕時計の文字盤などにも応用できるのではないかと期待している」と語る。
さらに、鈴木氏は将来構想として「現在、アナログ的な手法で取り組んでいる色弱者向けの視認性評価についてもデジタル化していきたい。また、今回取り組んだ視認性スコアのノウハウを生かし、例えば、ベースカラーに対して最適な文字色の候補を提示するといったデザイナーの業務を支援するような仕組みの構築にも興味がある」と説明する。
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