三菱電機とカワダは、三菱電機グループの家電リサイクル事業で長年培ってきたプラスチック高度選別技術を活用し、家庭などから廃棄されるプラスチックの回収/リサイクルの推進に向けた共同研究を開始した。
三菱電機とカワダは2024年8月22日、三菱電機グループの家電リサイクル事業で長年培ってきたプラスチック高度選別技術を活用し、家庭などから廃棄されるプラスチックの回収/リサイクルの推進に向けた共同研究を開始したと発表した。
なお、今回の研究の一環として「東京おもちゃショー2024」(同年8月29日〜9月1日、東京ビッグサイト)に家電由来のリサイクル材から試作した玩具の共同出展と、家庭内で不要となった玩具の回収を実施する。
日本政府は2019年5月に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、2035年までに使用済みプラスチックの100%に対して、リユースあるいはリサイクルなどの取り組みを行うことで、有効利用する目標を掲げている。
一方、世界的な化石燃料産業からのダイベストメント(石油や石炭などの化石燃料を取り扱う企業から投資資金を引き揚げる動き)により、バージンプラスチックのサプライチェーンが破綻するリスクがある。こういった状況を受けて、さまざまな企業が循環型社会の実現に向け、プラスチックのリサイクルに取り組んでいる。
また現在、国内では、回収された廃プラスチックのうち半分以上がサーマルリサイクル(ごみを燃焼した際に発生する熱を回収してエネルギーとして再利用する方法)で利用されている。しかし、プラスチックを有効活用するためには、廃プラスチックを回収するためのスキームを整え、マテリアルリサイクルにより資源に戻し、製品原料として再利用することが重要だ。さらに、資源をリサイクルするには、物流などで排出される温室効果ガスやコストを考慮し、国内で資源を循環させることが望ましいと考えられている。
しかしながら、リサイクルプラスチックを製品の外観で使用する場合には、異物の出現や樹脂自体の色のばらつき、強度不足などの課題を解消する必要がある。
そこで三菱電機は、グループ内で家電リサイクル事業を行っており、同社の統合デザイン研究所で、リサイクルプラスチックの質感を生かした材料開発とCMF(製品デザインにおける色、素材、仕上げの要素)の研究を行っている。
カワダは、ブロック状の玩具「DIABLOCK(ダイヤブロック)」の1つとして、食用に適さない古米や破砕米を原料とした日本発の環境素材「rice resin(ライスレジン)」を使用した「OKOMEIRO(オコメイロ)」の製品開発を行っており、サステナブルな取り組みの実績や知見を有している。
今回、三菱電機とカワダは、家庭内で不要となったプラスチックを回収し、資源としての再活用するためにプラスチックリサイクルの共同研究を開始した。暮らしに身近な存在である家電と玩具に関して、両社がそれぞれ保有する知見を融合することで、環境に配慮した技術開発と業界を超えたリサイクルプロセスの確立を目指す。
具体的には、東京おもちゃショー2024で不要となった玩具を回収する他、玩具由来のプラスチックの組成を調査することで、家電や玩具を含め、リサイクルプラスチックとして利用できる製品の検討や課題抽出を行う。家電製品とは異なる種類のプラスチックや品質のばらつきを有する玩具に対して、高品質な選別を実現するための技術開発項目も検討する。
さらに、カワダは、rice resinなどのサステナブルな素材を使用して製品化した知見を活用し、三菱電機独自の高度選別技術を用いた家電由来の高品質なリサイクルプラスチックを原料とするDIABLOCK「MEGURIIRO(メグリイロ)」を試作する。三菱電機が保有する、リサイクルプラスチックの材料開発やCMF研究の知見も活用し、リサイクル材特有の色味を生かした自然な色彩とすることで、暮らしに馴染む玩具を追求。東京おもちゃショー2024で、MEGURIIROをはじめとするリサイクル材製の玩具の受容性も調査する。
共同研究の実施期間は2024年8月6日〜2025年3月31日。三菱電機は不要となった玩具の回収/管理、プラスチック選別/リサイクルプロセスの検討、玩具由来のリサイクルプラスチックによる家電の試作製造を担当する。カワダは、家電および玩具由来のリサイクルプラスチックを用いて玩具の試作製造を担う。
今後は、東京おもちゃショー2024での受容性調査などを踏まえ、多種多様な用途でのリサイクル材の適用拡大を推進する目的で、共同研究を進めていく。2025年3月をめどに、回収したリサイクルプラスチックの物性調査を完了し、新たな適用先製品の検討開始を目指す。
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