3D CADと3Dプリンタを中心に「第36回 ものづくり ワールド[東京]」を振り返るテルえもんが見たデジタルモノづくり最前線(3)(1/2 ページ)

連載「テルえもんが見たデジタルモノづくり最前線」では、筆者が日々ウォッチしているニュースや見聞きした話題、企業リリース、実体験などを基に、コラム形式でデジタルモノづくりの魅力や可能性を発信していきます。連載第3回のテーマは3D CADと3Dプリンタを中心とした「第36回 ものづくり ワールド[東京]」の振り返りです。

» 2024年07月23日 09時00分 公開

 2024年6月19〜21日の3日間にわたり、東京ビッグサイトで開催されていた「第36回 ものづくり ワールド[東京]」に行ってきました。筆者自身が見て聞いて感じた内容とMONOistの展示レポートを振り返りながら、3D CADと3Dプリンタを中心とした“デジタルモノづくり”の最前線に迫っていきます。

「第36回 ものづくり ワールド[東京]」に行ってきました! 「第36回 ものづくり ワールド[東京]」に行ってきました![クリックで拡大] 撮影:筆者

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3D CAD編

 構成展の1つ「第36回 設計・製造ソリューション展」では、3D CADベンダー各社がブースを構えており、その様子がMONOistの展示レポート「『3Dデータを使い倒す』――3D CADベンダー各社の展示から見えた共通メッセージ」にも取り上げられています。

 記事の中ではAutodesk、SOLIDWORKS、PTCを取り上げ、プラットフォーム戦略やAI(人工知能)活用といった各社共通の動きに触れるとともに、競合同士が「3Dデータを使い倒す」という同じ方向性を打ち出している点が紹介されています。このような視点は、普段から複数の3D CADを使いこなし、講師として人に教える立場にある筆者としても同感するものでした。

「第36回 設計・製造ソリューション展」に出展したオートデスクの展示の一部 「第36回 設計・製造ソリューション展」に出展したオートデスクの展示の一部[クリックで拡大]

 連載第1回「3D CADに搭載されはじめたAI機能と自動化」でも触れていますが、最近の3D CADは、AIを活用して設計作業をアシスト(反復作業などの自動化/効率化など)してくれたり、設計者の創造性をより高めてくれたりする便利な機能が搭載されつつあります。

 また、「3Dデータを使い倒す」というと、これまではCAEやCAM、3Dプリンタなどでの利用がぱっと頭に浮かびますが、近年では、3D CADを活用した生産設備設計において、ロボットのオフラインティーチングやPLCの制御プログラムとの連携も進んできており、“使い倒す幅”がより一層広がってきているように感じます。

 例えば、機械設計向け3D CAD「IRONCAD」上で動作するロボットシミュレーター「icROBOSim」では、3D空間内の要素やオブジェクトをマウス操作で簡単かつ正確に移動し、配置することができ、ロボットだけでなく、周辺機器や装置内のアクチュエーターなどの動作検証まで行えます。タイムラインに沿って動作を指定できるため、タクトタイムを基準とした検証も可能です。作成したロボットのモーションは、ロボットコードとしてエクスポートすることもできます。

 普段、筆者が働いている「いわてデジタルエンジニア育成センター」では、過去にクリエイティブマシンの方を講師に招き、icROBOSimの体験セミナーを開催したことがあります。実際に筆者も操作を体験しましたが、3D CAD上でマウスを使用し、部品をアセンブリ機能で移動するような感覚で簡単に作業でき、非常に使いやすい印象を持ちました。

icROBOSimの体験セミナー時の様子 icROBOSimの体験セミナー時の様子[クリックで拡大] 撮影:筆者

 IRONCADの他にも、生産設備設計として国産の3D CAD「iCAD」にも制御検証するオプションがあり、短期間で仮想メカを作成でき、可動部やワーク数の多い大規模な装置でもスムーズに動作する検証環境が提供されています。また、iCADとは別で使用できるソフトウェア「VPS IOC」も提供されています。

 VPS IOCに関しても過去にセミナーを開催し、筆者も操作を体験したことがあります。細かい設定が必要ですが、詳細な検証と正確なアウトプットが得られる印象です。

 3D CADではなく、別の専用ソフトウェアとしては、ラティス・テクノロジーの設備開発用3D制御シミュレーター「XVL Vmech Simulator」が挙げられます。大規模設備の3Dモデルを軽量な3DデータとしてPLCのラダープログラムで動かし、検証が行えます。また、既存の設備/装置を3Dスキャナーで撮影した点群モデルと一緒に検証することも可能です。

関連リンク:

XVL Vmech Simulator


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