GHG排出量を4割削減する飲料缶蓋の生産体制を構築、量産化へ材料技術

東洋製罐は、UACJと共同開発した、温室効果ガス排出量を従来品比で約4割削減する飲料缶蓋「EcoEnd」の生産体制を構築した。今後は、顧客への供給に向けて量産化の準備に入る。

» 2024年07月19日 11時00分 公開
[MONOist]

 東洋製罐は2024年7月9日、UACJと共同開発した、温室効果ガス(GHG)排出量を従来品比で約4割削減する飲料缶蓋「EcoEnd」の生産体制を構築したと発表した。今後は、顧客への供給に向けて量産化の準備に入る。

 EcoEndは、リサイクル原料の使用量を大幅に引き上げた、次世代の飲料缶蓋だ。使用するリサイクル原料は、製造時のGHG排出量をアルミ新地金の約3%に抑えている。これを使用したEcoEndは、現行品と比べ、10億枚当たりのGHG排出量が約1.3万トン(t)減少。東洋製罐が国内で販売する飲料缶蓋を全てEcoEndに置き換えた場合、年間約14万tのGHG排出量削減が見込める。

 飲料缶蓋は、一定量の新地金を使用して品質を確保している。EcoEndでは、新地金を減らし、使用済み飲料缶(Used Beverage Can:UBC)などのリサイクル原料の割合を増やすことで、缶胴の成分に近づけた。

 溶解時には缶胴と同じモノマテリアルと見なすことができ、また溶解後は成分を調整してそれぞれの素材に分離することで、これまで通り缶蓋と缶胴の特性の違いを持たせることができる。今後は、蓋にも多くのリサイクル原料を循環使用することが可能になり、新地金の使用量を抑えてGHG排出量を削減できる。

キャプション 左:現在のアルミ容器材の循環フロー。右:「EcoEnd」が提案する新しい循環フロー[クリックで拡大] 出所:東洋製罐

 また、UACJの材料製造技術と東洋製罐の蓋成形技術を組み合わせることで、リサイクル原料の使用量を増やしつつ、現行蓋と同等の品質性能を維持している。厚みも現行蓋と変わらず、蓋を取り付ける設備の仕様変更も必要ない。

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