第36回 ものづくり ワールド[東京]

製造用途での3Dプリンタ活用の現実解、3D Systemsがインダイレクト製造を訴求ものづくり ワールド[東京]2024

スリーディー・システムズ・ジャパンは「第7回 次世代3Dプリンタ展」に出展し、従来工法の一部に3Dプリンタを活用した“インダイレクト製造”について訴求していた。

» 2024年07月05日 06時30分 公開
[八木沢篤MONOist]

 スリーディー・システムズ・ジャパンは「第36回 ものづくり ワールド[東京]」(会期:2024年6月19〜21日/会場:東京ビッグサイト)の構成展の1つである「第7回 次世代3Dプリンタ展」に出展し、インダイレクト製造について訴求していた。

第7回 次世代3Dプリンタ展に出展したスリーディー・システムズ・ジャパンの展示ブースの様子 第7回 次世代3Dプリンタ展に出展したスリーディー・システムズ・ジャパンの展示ブースの様子[クリックで拡大]

 インダイレクト製造とは、従来工法の一部に3Dプリンタを取り入れて、効率化やコスト削減などを目指すアプローチだ。「製造用途での3Dプリンタ活用の1つのゴールとして、出力したものをそのまま最終製品として使用するダイレクト製造がある。ここはもちろん目指すべき方向性だが、現時点では品質管理の問題や材料が3Dプリンタに依存してしまうといった課題がある。そこで、今回の展示では“今目指すべきゴール”としてインダイレクト製造を提案し、その事例をいくつか用意した」(説明員)。

従来工法の一部に3Dプリンタを取り入れるインダイレクト製造

 まずは、ジュエリー(宝飾品)の製造過程などに用いられる石こう鋳造プロセスに対する提案だ。従来は、光造形3Dプリンタなどで製作したマスターパターン(原型)を基にゴム型を起こし、そこにワックスを流し込んでワックスモデルを量産して、ロストワックス鋳造によってジュエリーを製造する。これに対し、同社はワックスを直接出力できる3Dプリンタ(提案機種:ProJet MJP 2500W Plus、MJP 300W)を用いて、ダイレクトにワックスモデルを作成するアプローチを提案。「これであればデザイン完成後、ゴム型なしにすぐにワックスモデルを作成できる。手間と時間を要し、少量多品種への対応が難しい従来工法の課題を解決し、生産性の大幅な向上につなげられる」(説明員)。

ジュエリー(宝飾品)の製造過程などに用いられる石こう鋳造におけるインダイレクト製造の提案 ジュエリー(宝飾品)の製造過程などに用いられる石こう鋳造におけるインダイレクト製造の提案[クリックで拡大]

 セラミック鋳造においても、3Dプリンタによるインダイレクト製造が効果を発揮するという。従来は金型を起こしてワックスモデルを作り、それにセラミックの液体や粉を何層もコーティングし、高温の炉にかけてワックスだけを溶かして、セラミック鋳型を製作。そこに材料となる金属を流し込んで部品などを製造する。ここでの課題は、金型設計/加工にかかる時間とコスト、そして、抜き勾配を考慮した形状にしなければならないという設計上の制約だ。この課題に対して、同社は2つのアプローチを提案する。

 1つは、先ほどと同様にワックスを直接出力できる3Dプリンタ(提案機種:ProJet MJP 2500 IC)でワックスモデルをダイレクト生産する方法だ。これであればワックスモデルを製作するための金型が不要となり、時間もコストも削減でき、抜き勾配の制約からも解放される。

 もう1つは、ワックスではなく、光造形3Dプリンタ(提案機種:SLA 750)と精密鋳造専用樹脂を用いたアプローチだ。従来のワックスモデルの代わりとなるモデルを光造形3Dプリンタで造形するというシンプルな工法となるが、高い表面精度を実現すると同時に、モデル内部を独自の中空構造にすることで軽量化と強度を両立させている。「材料には精密鋳造専用の非常に燃焼性の高い樹脂を用いているため、セラミックの鋳型内部にすすが残らない。この工法であればワックスモデルよりも強くて軽いモデルが作れる。また、材料使用量も抑えられ、短時間で造形できる。こちらも金型レスでモデルをそのまま造形するため、抜き勾配を考慮することなく自由度の高い形状を試すことができる」(説明員)。

セラミック鋳造におけるインダイレクト製造の提案 セラミック鋳造におけるインダイレクト製造の提案[クリックで拡大]

 鋳造に関しては、金属3Dプリンタによる部品のダイレクト製造という考え方もあるが、「従来工法の一部に3Dプリンタを活用するインダイレクト製造であれば、最後のプロセスは従来と変わらないため、これまでと同じ保証された材料で部品を製造できる。この安心感は大きいだろう」と説明員はアピールする。

 インダイレクト製造の提案の中でも非常にユニークだったのが、エッグシェルモールドによる試作/製造のアプローチだ。例えば、精密機器の保護ケースのようにシリコーンゴムで作られている製品の試作や製造を検討する場合、量産と同じ材料で成形したいというニーズがある。エッグシェルモールドはこうした要求に応えるもので、製品(例:アクションカメラ)の3Dモデルを基に、その表面全体を卵の殻のように中空構造のシェルで覆い、そこにベントと材料の注入口をモデリングし、3Dプリンタ(提案機種:ProJet MJP 2500Plus)で造形。注入口から量産と同じシリコーンゴムを流し込み、硬化後に外側のシェルを卵の殻のように割って、中身を取り出す(=シリコーン部品の完成)という工法だ。「3Dプリンタを用いたダイレクト製造のアプローチではシリコーンライクな材料で試作するという方法もあるが、これは量産と同じ材料での試作ではない。エッグシェルモールドであれば、量産と同じシリコーンゴムで、何パターンも試作することができる。シェルの材料は割れやすい高耐熱の材料(基本的にもろいとのこと)を用いている」(説明員)。

エッグシェルモールドによる試作/製造のアプローチ。画像右から3Dプリンタで造形したシェル⇒量産と同じシリコーンゴムを注入した状態⇒シェルを割って試作品を取り出した状態 エッグシェルモールドによる試作/製造のアプローチ。画像右から3Dプリンタで造形したシェル⇒量産と同じシリコーンゴムを注入した状態⇒シェルを割って試作品を取り出した状態[クリックで拡大]

 その他、展示ブースではペレット押し出し式大型3Dプリンタ「EXT Titan Pellet」を用いたインダイレクト製造の事例として、真空成形用内装パネル型とその成形品や、砂型鋳造用の木型を樹脂に置き換えた型などを展示していた。EXT Titan PelletはCNC切削スピンドルツールヘッドを搭載できるため、木型のように表面精度が重要なものでも対応可能だ。

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