リコージャパンは「第7回 次世代3Dプリンタ展」に出展し、エス.ラボのペレット式3Dプリンタを活用した工場内廃材の「リサイクルラボシステム」を紹介した。
リコージャパンは「第36回 ものづくり ワールド[東京]」(会期:2024年6月19〜21日/会場:東京ビッグサイト)の構成展の1つである「第7回 次世代3Dプリンタ展」に出展し、エス.ラボのペレット式3Dプリンタを活用した工場内廃材の「リサイクルラボシステム」を紹介した。既にプラスチック廃材が多く発生する大手製造業から引き合いがあり、導入も進んでいるという。
エス.ラボは2016年にペレット式の3Dプリンタを開発。材料にペレット状の樹脂を用いることで、3Dプリンタとしては大型の造形物を短い時間で造形できることが特徴だ。新たに展開する「リサイクルラボシステム」は、不要になったプラスチックを粉砕して押出成形機で線状に伸ばし、それをカットすることでペレット化し、それを3Dプリンタで活用することで簡単にリサイクルを行えるようにしたものだ。通常のプラスチックのリサイクルには大規模な工場設備を必要とするが、同システムはラボレベルの省スペースで実現できる点が特徴だ。そのため、工場単位で簡単に導入することができる。
リコージャパンではこのエス.ラボのリサイクルラボシステムを代理店として国内製造業などに販売をしている。リコージャパン デジタルサービス企画本部 製造事業部 AM営業部 技術支援グループ リーダーの山口清氏は「このリサイクルラボシステムはプラスチックを扱う工場向けで非常に最適なシステムだと考えている。通常プラスチックのリサイクルを行おうとするとまず回収時の分別に非常に苦労する。しかし、工場内で出る廃プラスチックは工場管理の中で種類を選別することができるため、品質を安定化させることができる。ニッチな領域だが、工場内で捨てていたプラスチック材から、治具や設備などが造形できるようになり、工場にとってはメリットが大きい」と価値について述べている。
リコージャパンでは今回の出展ブースのパーテーションをこのリサイクルラボシステムで造形したという。既に多くの製造業の工場で導入が進んでいるといい、特に工場内でプラスチックを扱い、数トンレベルで廃棄されている工場からの反応が良いという。山口氏は「それほどプラスチックの廃材が出ない企業ではメリットは出しにくいが、プラスチックの廃棄で大きな費用が掛かっている企業では採算も出しやすい。プラスチックの資源循環に向けた規制なども強まっており、自動車部品メーカーなど、多くの製造業から引き合いが来ている」と述べている。
また、リサイクルラボシステムを開発したエス.ラボは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)表彰台の造形で使用した3連式のペレット式3Dプリンタを出展した。リサイクルラボシステムについて、エス.ラボ マーケティング部 マーケティング課 課長の湊博文氏は「3Dプリンタの普及は広がっているが、いつでも課題になるのは出口戦略だ。その点でリサイクルラボシステムはプラスチックを使う工場での廃材活用という用途が明確であり、規制などによるニーズも捉えているため、反応が良い。リコージャパンなどと協力して提案を進めていく」と語っている。
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