電子情報技術産業協会(JEITA)はパナソニック ホールディングス 取締役会長の津賀一宏氏が会長に就任したことを発表した。
電子情報技術産業協会(JEITA)は2024年6月3日、同日に開催した第14回定時社員総会において、パナソニック ホールディングス 取締役会長の津賀一宏氏がJEITA会長に就任したことを発表した。任期は1年となっている。
JEITAは1948年に無線通信機械工業会として設立され、1958年に日本電子機械工業会に改称し、2000年に日本電子工業振興協会と統合してJEITAが発足した。2023年には発足から75周年を迎えた。
記者会見において津賀氏は、2023年に発表されたスイスの国際経営開発研究所(IMD)による世界デジタル競争力ランキングにおいて、日本が前年より順位を落として32位となったことに触れ、「デジタル技術は生産性や成長率を向上させ、少子高齢化や気候変動などの課題解決にも不可欠であり、企業価値にも大きな影響を与える。デジタル産業を支える半導体やAI(人工知能)技術などは、日本の成長に寄与する重要な要素であり、JEITAの役割はますます重要と認識している」と語った。
そして、JEITAの会員企業が協力して取り組む2つの重点項目として、「テクノロジーの進化と社会との調和」と「サプライチェーンへの対応」を挙げた。
津賀氏はテクノロジーの進化と社会との調和について、「デジタルイノベーションは社会全体の利益となり、その恩恵を誰もが享受できることが望まれる。デジタルの社会実装により成長力を高め、テクノロジーの進化が社会や暮らしの豊かさ、さらには日本の産業競争力強化につながるよう、事業環境の整備を推進していく。生成AIなどの急速な技術革新に対応した利活用面でのルールづくりや、デジタルイノベーションと社会、法制度の調整も重要となる」と述べた。
サプライチェーンへの対応については、経済安全保障における強靭化だけでなく人権やサイバーセキュリティ、サステナビリティへの対応、脱炭素化など取り巻く課題は増え続けている。「これらの課題に対しては、データの共有、連携、活用など、デジタル技術による解決が期待される。しかし、1社だけで解決できるものではなく、複数の企業が協力し合うことが不可欠だ。このような活動こそ、デジタルを旗印に幅広い産業の企業が集まるJEITAの特性が生かされる分野だ」(津賀氏)。
今後の新たな取り組みとしては、デジタル産業だけでなく、大学や研究機関、政策立案の専門からとも協力して、協調領域の設定と活動の具体化を進める。JEITAのGreen×DigitalコンソーシアムではサプライチェーンのCO2排出量の可視化に取り組んでおり、業界横断で取引先とのCO2データの共有フレームワークを国際標準と整合させて策定、実施してきた。「2024年度からは実装フェーズに移行する。この成功事例を他の領域にも広げていく」(津賀氏)。
次ページでは津賀氏と報道陣によるQ&Aセッションの模様を紹介する。
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