TDKは、スマートフォンのワイヤレス充電用超薄型パターンコイルを開発した。ワイヤレス充電標準規格Qiに準拠した全てのスマートフォンに対し、1つの充電器で最大15Wの充電ができる。
TDKは2024年5月14日、スマートフォンのワイヤレス充電用超薄型パターンコイルを開発したと発表した。稲倉工場西サイト(秋田県にかほ市)を生産拠点に、2025年1月から量産を開始する予定だ。
新開発のパターンコイルは、1つの充電器でMPP(Magnetic Power Profile)規格とEPP(Extended Power Profile)規格の両方に対応可能。ワイヤレス充電標準規格Qiに準拠した全てのスマートフォンに対し、1つの充電器で最大15Wの充電ができる。外形は85×67mmだ。
従来の巻線式のコイルは、充電エリアを確保するために、3つのコイルが必要だった。同社のパターンコイル技術により形状の設計自由度を向上し、1つのコイルで広い充電エリアをカバーできる。
従来、MPP規格とEPP規格を同時に満たすには、MPP方式の磁石の外側にもコイルを設置する必要があり、充電効率が下がる課題があった。同社は、磁石の配置やコイルの設計を最適化し、磁石のコイルへの影響を最小限に抑えることで課題を克服し、最大15Wで両規格での使用を可能にした。
また、パターンコイルの銅めっき加工は、必要な部分だけに銅めっきを施してパターンを形成する、廃棄ロスの少ない製法を採用。巻線コイルより薄型化が可能になり、製品の厚さを約1mmに抑える予定で、いずれかのコイルに切り替えて充電するため、回路基板の小型化にも貢献する。
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