KDDIは過去の事故情報などのオープンデータと人や車両の流れのビッグデータをAIで分析して危険地点を見える化するソリューションを2024年春から提供する。トヨタ自動車と連携して、早期の社会実装を目指す。
KDDIは2024年2月20日、過去の事故情報などのオープンデータと人や車両の流れのビッグデータをAI(人工知能)で分析して危険地点を見える化するソリューションを同年春から提供すると発表した。トヨタ自動車と連携して、早期の社会実装を目指す。
KDDIが保有する歩行者や自転車などに関する人流データと、トヨタ自動車が持つ車両の走行データやプローブデータの他、オープンデータである道路特性や事故発生数などでデジタルツインを生成。危険地点をスコアリングして可視化し、10m2単位で危険度合いを示す。歩行者や自転車利用者に占める高齢者の割合や、車両の急ブレーキ発生率など、各地点における危険要因を確認できるようになる。この結果を基に道路標識を新設するなど効果的な対策の実施に役立つという。
交通安全に関しては、自転車の位置情報を活用して接近を知らせる「Vehicle to Bike」にも取り組んでいる。自動車と二輪車の位置情報を基に、事故の危険がある交差点に複数の車両が同時に接近するとスマートフォンの通知音やバイブレーション、画面表示を活用して接近を通知する。2023年2月1〜28日に東京都板橋区での公道で実証実験を行い、交差点への進入スピードが平均で時速10.1km下がることを確認した。
余裕をもって減速できるタイミングで通知するため、検索処理の軽量化や同時接近判定ロジックの高速化によって遅延の低減を実現した。危険地点を見える化するソリューションと組み合わせることで、危険な交差点でのみ通知する他、事故の危険がある交差点との距離に応じて位置情報の更新頻度を調整してスマートフォンのバッテリー消費を抑える。
コネクテッドカーのセキュリティにもかかわる「みまもりセンター」の実運用も目指す。KDDIとトヨタ自動車のそれぞれのデータを横断的につなげ、1台1台の状況を把握することで、管理サーバ経由の攻撃や車両を踏み台にした攻撃などでの影響の範囲を特定するとしている。通常とは異なる通信パターンを検知し、従来では難しかった1台1台への影響軽減やサイバー攻撃の回避策を実現する。
この他にも、コネクテッドカーの普及によって発生する大容量のデータをネットワークエッジにおいて処理する際に、液浸コンテナを活用して消費電力を低減したり、センターサーバへの転送が必要なデータは再生可能エネルギーを使っているサーバに優先的にルーティングしたりするCO2排出削減策も推進する。液浸冷却技術を活用した小型データセンターは2024年2月5日から設置し、大容量データをネットワークエッジで処理するフィールド実証を行っている。
また、モビリティでの体験価値向上に向けて、セルラー通信だけでなく衛星通信やWi-Fiを活用するなど移動時のニーズに合わせて最適な通信を提供し、車内で過ごす時間を充実させる。2024年2月20日〜同年5月31日まで、友人や知人と共同編集しながら出掛ける計画を調整するサービスを試験的に提供する。
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