続いて、総固定資本形成の水準を形態別に国際比較しましょう。
情報量が多いですが、全体的に眺めるために4つ並べてみました。順に見ていきますが、全てに共通する傾向として、1990年代には日本の水準がかなり高く、その後減少したり停滞したりしていることが挙げられますね。
確かにそうですね。ただ、項目によってずいぶんと程度の違いがあるようです。まず住宅を見ると、1990年代の日本はかなり高い水準にありますが、ドイツと大きな差はありません。
その後両国ともやや水準が低下しますが、ドイツは2000年あたりから増加傾向に転じるのに対して、日本は停滞したままです。
そうですね。最近の水準としては、日本はイタリアや韓国よりも少なく、主要国で最低水準となっています。
住宅では特に米国で、リーマンショックの影響とみられる大きな減少局面が確認できますね。
機械・設備・防衛装備品では、1990年代の日本の水準が一層突出したものとなっていますね。その後はやや水準を落として停滞傾向です。近年ではドイツや韓国と同程度ですが、主要国の中では高い水準を維持しているようです。
工業の盛んな国として、この3カ国は主要国でも機械・設備の水準が高いですね。米国は防衛産業が盛んな事もあり、防衛装備品の寄与も大きいのかもしれません。
その他の建物・構築物は、ひときわ日本の突出が際立っています! 1990年代に他国が1000〜2000ドルである程度足並みがそろっていますが、日本は1995年には5000ドルを超えていますね。
でも、いくら円高の影響があったとしても高すぎるように思えます。
当時は公共投資も盛んでしたが、企業の投資も活発だったようです。この項目は橋梁などの公共投資と共に工場や施設などの企業部門の建物の割合も大きいようです。
近年ではカナダの水準が高いのも目立ちますね。カナダでは建設業の国内総生産もかなり高い水準で成長していて、産業別のシェアも主要国で最も高いです。
知的財産生産物は、ある程度各国が足並みをそろえながら増えている印象ですね。ただし、近年では米国がかなりリードしているように見えます。
そうですね、このように総固定資本形成の中でも項目によって特徴が異なるのは興味深いところです。
国内データと照らし合わせてみると、日本は1980年代後半から1990年代にかけて他国に比べて極端に大きな投資を行っていたと読み取ることができますね。
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