2023年に起こったさまざまな変化を踏まえ、2024年以降の製造業Webサイトは、SEOにどのように向き合うべきかを考察する。
生成AIの進化とヘルプフルコンテンツアップデートにより、より独自性の強いコンテンツが評価対象になることは間違いない。つまり「誰が答えても回答が変わらないような情報」はAIでも回答できるようになるため、企業には自社独自のコンテンツを提供する必要性が高まっている。
製造業における独自性の高いコンテンツとは、以下のようなものが考えられる。
重要なのは、自社独自の手段でこれらの情報を収集し、社内で蓄積し、Webサイトへ反映するための仕組みづくりだ。この仕組みがあれば、Googleのアップデートに柔軟に対応しつつ、検索ユーザーに価値の高いコンテンツを提供し続けられるだろう。
現時点でEEATはYMYL領域が中心ではあるものの、製造業においても中長期的に取り組むべき課題といえる。もともと存在していたEATへの対策としては、以下の施策が考えられる。
新たに加わったExperience対策では、社内から積極的に一次情報を集め、Webサイトへ掲載することが求められる。これは先に述べた「独自コンテンツの確保」と同様の取り組みで、今後の製造業におけるSEO戦略の中心的な考え方となるだろう。
従来のSEOの枠組みを超えた新たな挑戦として「AI検索最適化」の重要性が高まっている。前述した通り、AIが検索ユーザーの疑問に対し直接回答を行うことで、ユーザーがWebサイトを訪れる必要がなくなり、結果としてWebサイトへのアクセス数が減少する恐れがある。これに対応するためには、AI検索最適化を前提とした新しい対策を講じる必要がある。
AI検索最適化には、主に2つの方向性が考えられる。
1については、AIが引用元をどのようなアルゴリズムで表示しているのか不透明なため、具体的な対策が明らかになるのはこれからだ。これまでのSEOに近いアルゴリズムになると予想される。
2について、B2Bの製造業は一般の店舗やサービスとは異なり口コミ評価の収集が難しいため、AIによる推薦はEEATの評価を基に候補を選抜する可能性が高い。従って、EEATを高めるための取り組みは、従来のSEO観点だけでなく、AI検索最適化の観点でも極めて重要だといえる。
上述したトレンドに乗るのも良いが、最後に、筆者が特におすすめする手法について紹介したい。それは月間検索回数が100件を下回るような、検索ボリュームがごく少ない「超ニッチキーワード」に着目し、積極的にSEO対策を行うことだ。
超ニッチキーワードを狙うメリットは大きい。まず、ユーザーの検索意図が絞り込まれている場合が多いため、そのキーワードに対応したコンテンツを提供すれば、コンバージョン(問い合わせや資料ダウンロードによるリード獲得)につながりやすい。さらに、超ニッチキーワードは競合性が低いため、少ないコンテンツでも検索上位表示される可能性が高い。これらは、リード獲得におけるコストパフォーマンスが非常に高いことを意味する。
この手法を実践するためには、自社の技術や製品の強みと相性が良く、かつ、ニッチなキーワードを見つけ出すことが重要だ。ラッコキーワードなどの分析ツールを活用して、関連キーワードを洗い出す方法がある。そのようなキーワードが見つかった場合、ぜひ積極的にSEO対策に取り組んでほしい。
製造業の分野では、特定の技術や製品に関する専門的なニーズが存在することが多い。そのため、超ニッチキーワードに焦点を当てたSEO戦略は有効な手段となる可能性が高い。実際に当社が支援する製造業のWebサイトでも、超ニッチキーワードからコンバージョンを獲得するケースは少なくない。
以上、製造業Webサイトに関連するSEOの最新状況を紹介するとともに、2024年にどのような対策を行っていけばよいのかを考察した。本記事によって、1社でも多くの製造業が積極的にSEO対策に取り組み、自社の技術マーケティングを一歩前進させる年になればと願っている。
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徳山正康(とくやま まさやす)
テクノポート株式会社 代表取締役
製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手掛けるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。
グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家。
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