本連載では、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は、富山県高岡市にある「漆芸吉川」の蒔絵師で、高岡伝統産業青年会 第46代会長の吉川和行さんを取材しました。
本連載はパブリカが運営するWebメディア「ものづくり新聞」に掲載された記事を、一部編集した上で転載するものです。
ものづくり新聞は全国の中小製造業で働く人に注目し、その魅力を発信する記事を制作しています。伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。
富山県高岡市は、高岡漆器、高岡銅器、高岡仏壇などの産地として有名で、市内には複数の工房が集まっています。そしてこの高岡の伝統産業を支えるキーとなる団体が「高岡伝統産業青年会」です。
高岡伝統産業青年会(通称高岡伝産、以下、伝産)は、高岡市の職人や問屋が集まる団体で、2023年に創設50周年を迎えました。もともとは地元の職人がメインの集まりでしたが、職人の人柄や技術力に魅力を感じた人が他の街から移住して参加したり、地元の人が自分の専門分野で活動してくれたりという動きもあり、近年ではメンバーの顔ぶれも多彩になりました。在籍を一定の年齢で区切る卒会制度があり、40歳までの人だけが参加できます。高岡の熱い若手が集まる団体です。
彼らが本業を続けながら同時に伝産での活動に命を燃やすのは、高岡の伝統産業を、高岡という街を、モノづくりの産地としてさらに盛り上げるため。しかし、業界の縮小や安価な外国産商品の流入により、その高い技術力を生かせる場が減ってきています。この現状を打破するには、これまでの受注中心のモノづくりだけではなく、新たな販路開拓や技術開発などのアクションを起こさなければなりません。日々、目の前の仕事をこなすだけではなく、家業や伝統産業、街のことを長期的な視点で考える熱い人が、伝産にはいます。
今回は高岡市の漆芸吉川の蒔絵(まきえ)師であり、高岡伝統産業青年会 第46代会長の吉川和行(よしかわ かずゆき)さんにお話を伺いました。
※MONOist編集部注:以下、吉川さんのお話のみで構成
吉川和行
1985年生まれ、富山県高岡市出身。2014年から漆芸吉川で3代目の蒔絵師として漆器の製造を行う。伝産加入は2016年。現在は伝産の第46代会長として、蒔絵師として多忙の日々を送っているが、一児の父として愛娘に会うため、なるべく早く帰宅したいと日頃からスピード感のある行動を心がけている。スマホの待ち受け画面はもちろん愛娘の写真。
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