上席執行役員 マリン事業本部長の井端俊彰氏は、同社マリン事業部について、船外機やクルージングボート製造から発展し、ボート教室やシェアリングサービスなども展開してきた1960年からの長い歴史を紹介。現在の主力製品は船外機とその周辺機器だ。「新興国や途上国を含む世界中の国々では、漁業や輸送などのさまざまな業務用途でヤマハ発動機のマリン製品が使用されている。当社の製品が毎日の生活基盤として欠かせない役割を担っており、これらの国々における水産業の発展や社会インフラとして貢献している」(井端氏)
井端氏はマリン事業の長期ビジョンを「信頼性と豊かなマリンライフの提供」と掲げ、その実現のために「マリン文化を変える、日常が変わる」「海、人、社会を結ぶ」「今日よりもっと素晴らしい海を、未来へ送る」「海の秘めたポテンシャルを解放する」といった4つの方針を定めていると説明した。
加えて、長期ビジョンを実現するための2つの柱として「マリン版CASE戦略」と「カーボンニュートラル対応」を紹介した。マリン版CASE戦略では2024年にかけて「Connected=つながる安心」「Autonomous=安心で快適なマリンレジャー」「Shared=経験から自己実現へ」「Electric=より快適なボード操船」それぞれの実現を目指して先端技術の活用を進めている。
Connectedの領域では2021年に買収した米国のSiren Marineとの協業でスマートフォンからボートを遠隔監視できるシステムを開発してすでに販売している他、自社アプリ「My YAMAHA」にも展開して自分が所有するボートの整備履歴と点検時期のリマインダーを発行できるようになっている。
Autonomousの領域では、自社開発の操船システム「Helm Master EX」によって、船外機1基から複数機までの制御を可能にしたオートパイロットシステムを開発した。これによって、コース維持やトラックポイントに沿った航行、パターン操船だけでなく、釣行における定点保持や風に流されるドリフトの自動修正、そして、着岸における自動操船が可能になる。
Sharedの領域では、以前から展開している会員制レンタルボートサービス「ヤマハマリンクラブ・シースタイル」に加えて、それぞれの知見を共有するデジタルプラットフォームを開発しているフィンランドの「Skipperi」に出資して、同様サービスのシースタイル適合と欧米におけるシースタイル形態の事業化をそれぞれ検討している。
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