本連載では、厳しい環境が続く中で新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は、製造業の経営改革に取り組む2社、影山鉄工所と藤恵工業の対談をお届けします。
本連載はパブリカが運営するWebメディア「ものづくり新聞」に掲載された記事を、一部編集した上で転載するものです。
ものづくり新聞は全国の中小製造業で働く人に注目し、その魅力を発信する記事を制作しています。モノづくり企業にとって厳しい環境が続く中、伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。
今回は、製造業の経営改革に取り組む2社の代表に対談いただき、改革のポイントについてお聞きしました。1人目の方は静岡県沼津市に本社を置く影山鉄工所の代表取締役 影山彰久(かげやま あきひさ)さんです。
影山鉄工所は、鉄骨加工や鉄骨工事を中心とした製造業ですが、その本社オフィスやWebサイトは黒系統で統一され、他社とは一線を画したブランディング戦略を持つ会社です。Webサイトの右下には「M&A専用ページ公開中」とあります。事業譲渡や継承を検討する企業に向けて、影山鉄工所が属する影山グループのM&Aの経歴などを紹介するページです。
影山鉄工所は2020年から毎年1社のペースでグループ企業を増やし、現在4社の製造業を子会社化しました。
いずれも、影山鉄工所の本業である鉄骨加工や鉄骨工事から離れた分野の企業ですが、4社ともその分野においてニッチトップです。その結果、グループ売上高58億円(2023年予想)、グループ従業員数250人(2023年予想)を実現する見込みです。
影山さんは「腹を決めましょう。意志を持って変えていかなければなりません。そのためには知見を積むことも必要です。飛び込んでいけば変われると思います」と語ります。同社の詳しい取り組みについてはこちらの記事もご覧ください。
2人目は千葉県柏市にある藤恵工業の代表取締役 伊藤啓悟(いとう けいご)さんです。同社はNC旋盤、マシニングセンタによる金属部品の切削加工を中心とする製造業で、従業員数は10人と規模は小さいながらも高い経常利益率を誇ります。
IT企業に勤務していた伊藤さんは、お父様から4年前に経営を引き継ぎ、企業改革を進めてこられました。人材育成、工場DX(デジタルトランスフォーメーション)、5S活動、営業強化、Webマーケティングに順次取り組み、財務基盤を強化してきました。特に「人財戦略」を改革のキーとしており、価値観やビジョンの共有、キャリアプランの提示、人事評価制度の改革などを強力に推し進めています。
改革のかいあって、伊藤さんの入社から4年で会社の限界利益率は約60%、経常利益率15%を実現しました。そんな藤恵工業の改革の一つが工程管理システムの導入でした。詳しい取り組みについてはこちらもご参照ください。
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