今週はホンダが二輪車の電動化計画について発表しました。投資額が2030年までに5000億円に上ること、電動バイクの専用工場を新設することなど、かなり意欲的な計画が示されました。個人的に気になったのは、バッテリー交換式の電動バイクに関する見立てです。
週末です。1週間お疲れさまでした。寒くなってきましたね。インフルエンザが流行しているようです。体調に気を付けて過ごしてくださいね。
さて、今週はホンダが二輪車の電動化計画について発表しました。投資額が2030年までに5000億円に上ること、電動バイクの専用工場を新設することなど、かなり意欲的な計画が示されました。個人的に気になったのは、バッテリー交換式の電動バイクに関する見立てです。
バッテリー交換式の電動バイクは、残量がなくなっても充電で待つことなくバッテリーを取り換えるだけで再び走り出せることがメリットです。このバッテリー交換式よりも、プラグで充電する方が主流になるとホンダは見込んでいます。
ホンダは灯油のポリタンクを縦で半分にしたようなサイズのバッテリー「モバイルパワーパック」にここ数年取り組んでいます。電動バイクの駆動用だけでなく、その他の用途にも使える汎用バッテリーというコンセプトで、実証実験やモバイルパワーパックを使う製品の企画が国内外で進められてきました。軽商用バンの駆動用バッテリーに使うことで、EV化するという提案も展示会などで披露されています。
モバイルパワーパックを充電するステーションもセットで考えられています。再生可能エネルギーでモバイルパワーパックを充電し、各自が持ち出して使えば、再生可能エネルギーを小分けして使えるというアイデアです。モバイルパワーパックの充電ステーションをあちこちに設置する取り組みも進行中です。バッテリーを製品本体のコストに含めるのではなく、シェアリングを前提とすることでコストを抑制できるというメリットもあるとされてきました。
再生可能エネルギーを小分けして使うというアイデアがすてきだと思い、個人的にはホンダの事業の中でもモバイルパワーパックの展開をとても楽しみにしていて、今後の広がりに期待していました。そのような理由もあって、モバイルパワーパックを使った電動バイクが主流にならないという見立てにややショックを受けたのです。バッテリー交換式の電動バイクのユーザーは限られており、比率としては10%から最大でも20%とホンダは見込んでいます。
それについて残念だとは思っておらず、自分の偏った思い入れを軌道修正しなければ……とハッとさせられたのが正確なところです。ホンダはなぜバッテリー交換式のバイクを主流にしないのか。理由の1つはコストダウンです。ホンダは現在のバッテリー交換式電動バイクと比べてコストを半分に削減して競争力を高める目標ですが、バッテリーを交換式にしない(プラグで充電する仕組みにする)ことで2割のコスト低減が可能だとしています。
ホンダの過去の経緯を踏まえれば、コストだけを理由にプラグで充電するタイプに注力するのではないと考えられます。先述の通り、ホンダはさまざまな実証実験を重ねており、ホンダも出資する別会社でバッテリー交換ステーションの整備も始まっているからです。モバイルパワーパックの使われ方のデータがかなり集まっているであろう状況で「ユーザーは限られる」との結論を出したということは、手応えがあるのでしょう。
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