ExtraBoldが大型3D付加製造機「EXF-12」に続く新たな製品ラインアップ「REX-Series」を発表した。その第1弾として、AM技術に+αの拡張性を持たせた新システム「REX-BUTLER」を開発し、タイでの先行販売を開始する。
ExtraBoldは2023年11月22日からタイ(バンコク)で開催される金属加工機&工作機械の展示会「METALEX 2023」に出展し、同社の大型3D付加製造機「EXF-12」に続く新たな製品ラインアップ「REX-Series」の第1弾として、「REX-Series BUTLER fabrication」(以下、REX-BUTLER/レックスバトラー)を発表するとともに、実機を披露する。
REX-Seriesは、EXF-12で培ってきたアディティブマニュファクチャリング(以下、AM)技術を継承すると同時に、駆動部に市販品のロボットアームを採用する新シリーズで、AM技術に+αの拡張性を持たせた全く新しい製品ラインアップを展開していく。その第1弾となるのがREX-BUTLERだ。
REX-BUTLERは500〜1000mm程度のサイズの造形物を製造するのに最適な装置で、ロボットアームが造形テーブルを動かしながら造形を行う。その様子がトレーを持つ執事のように見えることから“BUTLER(執事)”と名付けられた。ロボットアームを採用することで精密な造形が可能になった他、省スペース化や導入コストの低減も図れるという。造形材料については、熱可塑性樹脂の一般的なペレット材だけでなく、リサイクル樹脂やバイオプラスチックを含む環境に配慮した材料を使用できる。
REX-BUTLERの最大の特長は、市販のロボットアームと組み合わせて造形を行う“BUTLER方式”を採用した点だ。EXF-12の高性能大型プリントヘッドを、新規開発した専用ユニット(シーケンサー)に固定し、独自開発した造形テーブル(ヒートベッド)をロボットアームに持たせ、アームを可動させながら造形を行っていく(特許出願中)。ロボットアームのスムーズな動作と3軸以上の造形を実現するために、REX-BUTLER専用のソフトウェアも自社開発している。
なお、ロボットアームに関しては、現時点でUniversal Robotsの協働ロボット「UR16e」に対応している。今後はUniversal Robotsのその他の機種だけでなく、ファナックの協働ロボット「CRXシリーズ」を含む、さまざまな協働ロボットメーカーの機種にも順次対応していく計画だという。
さらに、REX-BUTLERは複合加工を実現するMMA(Multi-Mode Additive Manufacturing)システムとしての利用を見据えている。
前述したようなAM(3Dプリンティング)だけでなく、切削加工、磨き加工、簡易型による成形などに対応したユニットを順次ラインアップし、それらを用いることで3Dプリンティングの幅を広げる+αの拡張性をもたらす(現在、切削加工ユニットの開発を進めている)。
例えば、造形、切削、磨きといった異なる加工ユニットを組み合わせて利用する場合、中心に配置したロボットアーム(1台)がまるで執事が給仕するように、各プロセスの最適なタイミングで加工対象物をさっと差し出して、造形から切削、磨きまでの一連の加工プロセスを切り盛りしてくれる。
REX-BUTLERの展開について、同社は課題が多いとされるASEAN地域の廃棄プラスチック問題に対応するため、タイでの販売を先行して行う(日本での販売は未定)。タイでの販売はロボットアームを含むターンキーシステムとして10セット限定の先行予約を受け付ける。1セット当たりの販売価格は500万バーツ(約2100万円)だという。REX-BUTLERの仕様などの詳細情報については、2023年12月初旬に公開予定の特設Webサイト内で公開する。
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