プライベート展示会ではこれらの新たな成長の芽として実際に形になりつつある製品やサービスを紹介した。「高度遠隔運用」では2022年9月に発表したリモートDXプラットフォーム技術「REMOWAY」をベースにさまざまな実証試験を進めている様子を紹介した。
「REMOWAY」は、人やロボット、センサー、IoT(モノのインターネット)端末、インフラ装置など多種多様なエッジデバイスが混在する環境下でも、柔軟に連携制御が行えるプラットフォーム技術だ。従来困難であったメーカーが異なる複数ロボットの遠隔運用、既設の各種センサーや端末、インフラなどの遠隔モニタリングを容易に行えるようになる。具体的には、ロボットやセンサーなどの端末メーカーに対し、REMOWAYに接続できるAPI(Application Programming Interface)開発用のSDK(Software Development Kit)を提供し、APIを通じて各種情報の管理や制御をREMOWAY上で行えるようにする。プライベート展示会のデモでは、会場内を行きかう複数のロボットを遠隔監視および制御を行う様子を示した。
このREMOWAYを中心とした高度遠隔運用分野は既にOKIが過去の事業で行ってきたことを汎用的なプラットフォームを通じて他産業に展開することを目指したものだ。「ATMの遠隔監視など既にOKI内では同じような仕組みを活用しておりそのノウハウを蓄積している」(説明員)。今後は各産業の主要企業との先行実証を通じて、産業固有の条件などを検証していき2025年以降に本格的に汎用展開を進める。「まずは警備やビルメンテナンス、工場などで導入が進むと考えている。将来的には建築領域などでも利用されるのではないかと期待している」(説明員)。
既存のノウハウをそのまま活用する高度遠隔運用に対し、新技術により新たな市場構築を目指しているのがCFB領域である。CFB技術はOKIがLEDプリンタの技術開発過程で生み出した独自技術で、半導体基板から機能層のみを剥離することで形成される半導体薄膜素材を、それとは異なる材料からなる基板上に接合する異種材料接合技術である。接合プロセスは常温下で行うことが可能で、接着剤などを介さず、材料間に働く分子間力のみを用いて接合できる。このCFB技術により、発光デバイスと駆動回路を一体化したマイクロLEDの量産を実現できる他、半導体デバイス製造の大幅な効率化と歩留まり向上などにも貢献する。プライベート展示会でもこれらの技術の価値を訴えていた。
OKIでは、今後このCFB技術を主にディスプレイ用途と、半導体デバイス用途の両面で展開し市場形成を進めていく方針だ。既に信越化学工業との協業により半導体製造プロセスへの活用を推進している他、新たな協業先などとも話し合いを進めているという。藤原氏は「CFBについては具体的にどういう用途でどのように活用が広がっていくのかをわれわれ自身も読めていないところがあり、パートナーを増やして話し合いを進めながら具体化していくことになる。デバイス応用ではチップレットなどの半導体後工程領域での活用や、光電融合デバイスの開発などにも将来的に活用できる技術だと考えている」と今後の期待について語っている。
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