デンソーは新体制での経営方針や技術戦略について発表した。2030年度に売上高7.5兆円を目標とする。このうち、電動化で1.7兆円、ADASで1兆円の売り上げを目指す。
デンソーは2023年11月15日、新体制での経営方針や技術戦略について発表した。2030年度に売上高7.5兆円を目標とする。このうち、電動化で1.7兆円、ADAS(先進運転支援システム)で1兆円の売り上げを目指す。電動化とソフトウェアに関しては、社員の採用や成熟領域からのリスキリングによる人材シフトを推進し、2022〜2025年の4年間で4000人を増強する。
2020年度から2025年度は、既存事業で安定的にキャッシュを創出しながら電動化やADASの成長で業績をけん引。2025年度から2030年度にかけては、内燃機関関連での事業譲渡など“総仕上げ”を本格化させるポートフォリオ変革による体質強化を進める。2030年度以降は、車載以外の事業で第2の柱を確立するなど飛躍を目指す。
投資を強化するのは、半導体やソフトウェアといった基盤技術、成長領域である電動化やADAS、車載以外の事業の柱となる新領域の3つのテーマだ。どのテーマも自前主義にこだわらず、パートナー連携を加速させる。
電動化での売り上げは2025年度に1.2兆円、2030年度に1.7兆円を目指す。熱マネジメントシステムや電源システムの拡販が順調に進んでおり、為替レートが円安で推移していることも織り込んで、2025年度の売り上げ目標を1兆円から1.2兆円に引き上げた。2025年度以降は車両の電動化の進展やグローバルでの拡販により売り上げを増やす。また、スピーディーな供給のため、開発期間半減を目指すとともに、世界5極(欧州、北米、中国、日本。アジアでは2026年度から生産)での量産体制を構築する。
電動化に関わる製品は、技術力で差別化を図る。例えばインバーターは他社が片面冷却のところ、デンソーは平置両面冷却器により冷却性能で競合比1.4倍を達成。また、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体の内製技術により電力損失を20%に抑え、外部調達のパワー半導体を使用している競合に差をつけるとしている。電源システムでも、高耐圧の半導体集積プロセスや高精度な電流電圧検出技術、高電圧回路の遮断技術により、小型化や高機能化を進める。
さらに、電動パワートレインのシステムとしての走行距離拡大や充電時間短縮も実現する。自動車メーカーの内製志向の強弱を踏まえ、システムからコンポーネント、コア部品までニーズに合わせて提供していく。
ADASは2025年度に5200億円、2030年度に1兆円の売り上げを目標とする。HMI(ヒューマンマシンインタフェース)やインフラと連携したADASにより、カバーできる事故の場面を拡大する。周辺環境の高性能な認識を行うADASをベースに、HMIはドライバーの状態の把握や注意喚起に、インフラはセンサーや人間の視野の外の情報収集に使用する。2035年度には事故の場面のカバー率100%を目指す。また、地域に合わせた製品やシステムを展開してADASの搭載率を高める。
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