オムロンは2023年10月27日、オンラインで記者会見を開き、同日発表した2023年度上期(2023年4〜9月)の決算について説明した。
オムロンは2023年10月27日、オンラインで記者会見を開き、同日発表した2023年度上期(2023年4〜9月)の決算について説明した。
2023年度上期の売上高は前年同期比0.9%減の4007億円、売上総利益は同5.2%減の1720億円、営業利益は50.4%減の207億円だった。円安の影響もあり売上高は前年並みだったが、営業利益は営業総利益率の低下や固定費の増加の影響を受けた。
セグメント別では制御機器事業の売上高は前年同期比8.6%減の2104億円、営業利益は同55.4%減の174億円だった。ヘルスケア事業の売上高は欧州や中国の血圧計需要が好調で8.6%増の740億円、営業利益は17.5%増の97億円、社会システム事業はエネルギーソリューション事業や鉄道事業が好調に推移し売上高は45.2%増の531億円だった。営業利益は電子部品事業は民生向けを中心に需要が低迷し、売上高は10.9%減の612億円、営業利益は66.9%減の27億円となった。
制御機器事業では第2四半期における設備投資需要が想定を下回った。特に中国市場で半導体や2次電池における投資が延期となった。また、市況の停滞により各エリアで代理店の在庫が高い水準で推移した。
オムロン 代表取締役社長 CEOの辻永順太氏は「過去と比べても中国のビジネス環境は変わってきている。中国市場はこれまで内需と外需向けで構成されていたが、われわれとしては内需の獲得にフォーカスしていく。製造業で脱中国のトレンドもあるが、われわれにとっては大きなビジネスチャンスになっている」と語る。
2023年度通期の売上高の見通しは期初当初の計画より400億円減の8500億円、営業利益は同570億円減の450億円とした。
2023年度下期の制御機器事業の見通しとしては、半導体関連投資は各エリアで需要低迷が継続、生成AI(人工知能)や車載向けなどで一部回復の兆しもあるが、本格回復は2024年以降になるとした。北米を中心にEV(電気自動車)関連投資は堅調に推移するも、中国などの2次電池の投資延期の影響が大きく総じて低調な推移を見込んだ。
ただ、オムロンのモノづくり革新コンセプト「i-Automation!」の採用社数は拡大しており、2022年9月から1年間で620社増えて2023年9月に累計4020社となった。中国、北米、欧州で採用社数を増やしており、ソリューション売り上げも伸びている。
i-Automation!は採用後、時間の経過とともに売り上げが拡大する。試作ラインで採用され量産に移ることで売り上げが拡大するため、時間の経過とともに単価が上がるからだ。採用顧客数を拡大させることが、制御機器事業の売上成長に直結する。
「米国には大きな成長の余地がある。自国生産の波が来ており、その波が大きくなることでわれわれの事業機会も広がる。i-Automation!の採用社数も確実に増えており、米国市場でも通用するという手応えを感じている。よりリソースもシフトさせて需要を取り込みたい」(辻永氏)
今後はデータ活用サービスの「i-BELT」、ロボット、生成AIソリューションの領域で事業強化を進める。
「ロボット事業は好調を維持している。昨今の人手不足や人件費上昇に対応するためのロボットへの需要は引き続き強い。われわれはロボット単体ではなく、i-Automation!というソリューションとして勝負していきたい」(辻永氏)。
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