オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 社長の山西基裕氏が合同取材に応じ、データを活用したソリューションビジネスの拡充を図る制御機器事業について語った。
オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー(以下、IAB) 社長の山西基裕氏は2023年10月16日、報道陣の合同取材に応じ、データを活用したソリューションビジネスの拡充を図る制御機器事業について語った。
オムロンの制御機器事業は、同社全体の売上高の約50%以上を占める屋台骨の事業だ。自動化設備を構成する制御機器をほぼ全て自社で取りそろえており、それら豊富な製品群を「ILOR+S(インプット、ロジック、アウトプット、ロボット+セーフティ)」と名付けている。
近年は製品単体の提供だけでなく、生産性や品質の向上など現場の課題解決に貢献するアプリケーションの創出に力を入れている。既に290のアプリケーションをラインアップしており、半導体や2次電池の製造工程で活用されている。
代表例は、制御機器と制振アルゴリズムを組み合わせて、ワーク搬送時のゆれ、ずれ、こぼれを防止する制振制御だ。例えば水が入ったコップを素早く搬送しようとすると、コップの中の水が揺れてこぼれてしまう。一方でこぼさないために遅くすると生産性が落ちてしまう。
「ワークに伝わる振動と逆の波長の振動を高速で繰り返すファンクションブロックをPLCにインストールすることで、どんなに早く搬送しても揺れが収まるようになる。半導体の製造工程では、ウエハーを素早く動かすと揺れて割れてしまうこともある。その揺れを抑え、ウエハーを素早く安定して搬送するためにアプリケーションが使われている」(山西氏)。制振制御は2次電池の積層工程にも使われているという。
同社の検査装置にも使われるフライングトリガーは検査時間を大幅に短縮するアプリケーションだ。通常はワークが検査位置に来て静止してから画像センサーで撮像するのに対し、フライングトリガーを用いるとワークの位置関係をサーボモーターで認識し、検査位置の手前で画像センサーのシャッターを切り、動いたままの状態でも検査と判断を行うことができるようになる。
オムロンでは、「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の新しい協調)」の3つの“i”を意味するモノづくり革新コンセプト「i-Automation!」を2016年から展開しているが、これらアプリケーションの採用社数は2016年度以降伸び続けて、2022年度には約3700社まで拡大した。2024年度には5000社まで広げることを目標にしている。
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