対応するアプリケーションAPIも、ARNIC 653 APEXと独自のDeos API以外に、既に顧客が利用しているRTOS向けのBSP/Adapterや、POSIX対応もうたわれている(図2)。そういうRTOSであるから、当然それなりのパワーがあるプロセッサが必要であり、x86とPowerPC、Arm、それとMIPSベースのシングル/マルチプロセッサ環境に対応とされている。SPARC(LEONプロセッサ)の名前が出てこないのがちょっと意外だったが、欧州はともかく、米国ではLEONはあまり広範には使われていないし、そもそもLEONを提供していたGaiser自身もSPARCに見切りをつけてNOEL-Vと呼ばれるRISC-Vベースのプロセッサをリリースしている状況だから、あまり需要がないのだろう。
これに対してHeartOSはより小規模なシステムを志向したものである。DO-178 Level A準拠は同じながら、アプリケーションAPIはPOSIX(POSIX Profile 51)のみに絞っており、他のRTOSをHeartOSの上で動かすような構成は考慮されていない(図3)。
ターゲットハードウェアも以下のように比較的非力である。
実際DDC-I自身HeartOSは16/32ビットプロセッサおよびDSPと明言しており、上に挙げた3アーキテクチャ以外にも個別対応するとしている。
DeosとHeartOSはどちらもプロプライエタリな構成で、カーネルの内部構造などは公開されていないし、サンプルなどは同社に連絡して契約を結ばないと入手できないので、一般ユーザー向けとは言い難い。ただ実績は豊富で、例えばDeosだと以下のような航空機の採用事例がある。
なお、HeartOSは、航空機以外にも医療向け3Dプリンタでの採用事例などが存在する。ミッションクリティカルが最重要とされる分野で使われているのが、DDC-Iの2つのRTOSというわけだ。
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