――使い勝手としては、USB-C端子で急速充電できたり、Macとつなぐと自動的に「写真」アプリが立ちあがってきたりと、割と挙動がスマホに合わせてあるような設計に見受けられるんですが。
大辻氏 まさにおっしゃっていただいたように、これまでスマートフォンで撮られていてステップアップしたい方とか、新しく始める方にとって、デバイスの使い心地って価値観がスマートフォン基準になっていると思うんですよ。そういった方々にとって、ハードルレスにするというような思想でやっています。
UIについても、例えば露出補正という言葉を使わず「明るさ」を記載したり、アイコンも親しみのある太陽マークで表記したりと、スマホに慣れ親しんだ方がカメラ用語を知らなくとも直感的に使えるような工夫をしております。
――そうか。今初めてカメラを買う人は、スマホで育ってきているわけですもんね。
大辻氏 スマートフォンやタブレットなどの最近のデバイスは、操作方法を教えてもらわなくても使っている内に何となくできるようになるものだと思っていて。その部分が実現されていないと、使い続けていただくことは難しいのかなと思っておりました。
それなので本当に細かい話ですけれども、箱のフラップ部分に小さなイラストが入っていて、使い方とかが分かるようになっているんですよ。イラストを見ただけで、「このQってボタンを押せばいろんな機能が使えそうなんだな」とか、今までのカメラに慣れていない方にも届くような工夫をしています。
――本機ではボディーに似合わぬ大きなマイクをステレオで上面に付けるという設計になっています。正面ではなく上向きというのは、狙いがあったんでしょうか。
石川氏 マイクはこの製品で特にこだわった部分です。まずこの製品でどういった音を録りたいかという、商品企画の段階からマイクの配置を考えていきました。
コロナ禍にちょうど入った辺りにソロキャンプのブームもあったりして、夜のキャンプ場とかで虫の声だったり、川のせせらぎとかですね、そういったささいな音もクリアに集音できるような、そういうコンセプトがまずありました。
前方の音だけを録りたいならマイクを前方に向けるんだとは思うんですけれども、上を向けることで、全体の音が録れるという配置にしました。ただカメラの中って、レンズが動く音だったり、基板上の素子が振動して鳴いていたり、実はいろんな音が鳴っています。ささいな音でも取れるっていう設計にしながらもそういった音は集音せず、高いSN比でマイクを搭載するところはかなり苦労しましたね。
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