これらの市場環境の大きな変化に対して、コアスタッフは半導体商社としてどのような取り組みを進めていくのだろうか。
戸澤氏は「半導体業界としては、日本生産への回帰や地政学的な日本の重要性の高まり、政府のバックアップやデフレ解消などのプラス要因がある。一方で半導体商社の立場として見ると、コロナ禍による国内でのカタログディスティ(通販商社)の浸透や半導体メーカーの連携強化などの好要因はあるものの、主要外資半導体メーカーが成熟し商社を頼らずに直接販売を行う動きを強めたり、グローバルカタログディスティの巨大化が進んだりするなどマイナス要因もある。投資規模が違い過ぎてまともに勝負することができない状況も生まれている」と状況について語る。
その中で、コアスタッフとしては、国内カタログディスティとして、長野県に自動倉庫設備を導入した新たな物流センターの建設などで強化を進める一方で、外資系企業では難しいきめ細かい営業やサービスを展開することで差別化を進めていく方針だ。特に競合企業がやっていない余剰在庫削減サービスの拡大を推進する。さらに、これらの知見を生かし、物流機能を一部受託するサービスも拡大していく。
「以前から物流機能の一部代行はやってきたが、2024年問題や物流スタッフの高齢化問題などもあり、自社内で物流業務を維持するのが困難な企業も多くなってきている。そういう企業にデバイスの在庫をコアスタッフに預けてもらい、そこから工場や顧客先に送るようなサービスを拡大していく。さらにこれらの在庫管理を行うことで余剰在庫の削減サービスやさらに調達業務の代行サービスなどにも発展させていきたい」と戸澤氏は述べている。
最終的には、各企業が購買機能を持ちメーカーや代理店に発注するという従来の業務形態から、コアスタッフが仲介に入ることで、各メーカーの交渉を取りまとめたり、在庫の管理や調達業務を代行したりする姿を理想として描く。「中小企業であれば、1社であれば価格交渉力が低く金額がまとまらないようなケースも多い。これをまとめることで価格交渉力も持つことができる。そういう役割を担っていきたい」と戸澤氏は将来像について述べている。
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