半導体や電子部品の通販Webサイトなどを手掛けるコアスタッフは2021年6月30日、不足が叫ばれている半導体に関する考察と、これらの状況に対する同社の取り組みについて発表した。
半導体や電子部品の通販Webサイトなどを手掛けるコアスタッフは2021年6月30日、不足が叫ばれている半導体に関する考察と、これらの状況に対する同社の取り組みについて発表した。
コアスタッフは半導体や電子部品のオンライン販売を行う「CoreStaff ONLINE」を展開する2000年創業の企業である。自社在庫10万点、他社在庫600万点を用意しWebサイト上で発注が可能である。会員数は約7万人、販売社数は約5000社に及ぶ。また、販売金額は2020年度で約47億円(全社売り上げは約85億円)だったという。この他、在庫を1つから販売する「ひとつから」などのサービスを展開している。
米国で同様のビジネスを展開するMouser Electronicsや、生産中止品を中心に取り扱うRochester Electronicsなどと提携しており、これらの企業の在庫品もCoreStaff ONLINE経由で一括購入可能である。また、顧客企業が抱える余剰の部品在庫をカタログに掲載し販売する「委託販売」サービスなども行っていることが特徴だ。
コアスタッフは、こうしたビジネスを展開していることから、半導体や電子部品の市場動向の影響を色濃く受け、リアルタイムで市場の変化を把握できる立場にある。実際に半導体不足が叫ばれるようになってからコアスタッフの受注金額も急増しているという。
コアスタッフ 代表取締役社長 戸澤正紀氏は「通常メーカーは直接サプライヤーとの取引により部品を仕入れるが、モノ不足や納期の問題などが生じると、一般市場から調達することになり、われわれのようなカタログディスティ(通販商社)の受注が増える。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し各地でロックダウンが起こった2020年4月にも受注金額は大きく伸びたが、2021年2月以降はそれよりも大きな山で受注金額伸びている」と最近の状況について語る。
こうした要因として戸澤氏は3つの点を挙げている。1つ目が「世界的な半導体不足の影響」である。「COVID-19により一時生産が止まった反動から自動車販売が急回復したことによる影響や、5Gスマートフォン端末の拡大、巣ごもり需要による家電販売の増加、テレワークによるPCやデータセンター需要の堅調など、コロナ禍によるライフスタイル転換が予想以上の部品需要の変化をもたらしたといえるだろう」と戸澤氏は要因について語る。
2つ目が「ルネサス エレクトロニクス、旭化成による火災の影響」である。2020年10月に発生した旭化成エレクトロニクスの延岡工場で発生した火災、2021年3月に発生したルネサス エレクトロニクスの那珂工場で発生した火災は、国内外のメーカーの半導体供給に大きな影響を及ぼしている。ルネサス エレクトロニクス 那珂工場については既に生産能力を被災前の水準に回復させたが、旭化成エレクトロニクス 延岡工場についてはいまだに復旧のめどが立っておらず、これらから調達していた製品を探したり、代替品を探したりする動きが増えているという。
3つ目が「米国テキサスにおける寒波の影響」だ。2021年2月に米国テキサス州を襲った寒波により、半導体製造工場や化学プラントが停止し、半導体供給および樹脂供給に大きな混乱をもたらしたという。戸澤氏は「半導体はもちろんだが、化学プラント停止による樹脂供給の停滞の影響が大きい。その影響が特にコネクターなどの電子部品にも出ており、入手の難しい状況が生まれている。コネクターの受注金額は平時に比べ4倍以上になっている」と語っている。
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