アクセンチュアが時価総額上位25社に入る企業も行うTERを解説、日本企業の課題とは製造マネジメントニュース(2/3 ページ)

» 2023年06月09日 09時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

TER実現の必須条件とは?

 廣瀬氏は「アクセンチュアでは『CEOによる共感を生む野心的なビジョン』『業界・社会変革を駆動するデジタルコア』『組織・企業を超えた共創型の働き方』がTERを実現するための必須条件と考えている。これにより『業界・社会変革のけん引者』としての企業価値を実現できる」とコメントした。

 「CEOによる共感を生む野心的なビジョン」に関して、時代の変化に応じ、CEOが掲げるべきビジョンは変化しているという。2000年までは、経済が高度成長期にあり、CEOは株主資本主義を掲げ、ホストコンピュータを活用し、終身雇用で社員を雇い、資本力などを成長の源泉として会社を運営していた。

 2000〜2020年は、人口オーナス社会(人口構成の変化が経済の負担となっている社会)で、CEOはデータ資本主義を重要視し、インターネットと派遣労働者を利用するとともに、プラットフォーマーなどを活用し、企業価値を高めることに務めた。2020年以降は、サステナブル社会で、CEOはステークホルダー資本主義を掲げ、人材流動性が求められる労働市場で社員を雇い、Web3(次世代のワールド・ワイド・ウェブ)やメタバースを活用し、さまざまなステークホルダーを対象とし全方位に向けた経営を行うようになるという。

CEOが掲げるべきビジョンの変化[クリックで拡大] 出所:アクセンチュア

 「業界・社会変革を駆動するデジタルコア」は、アプリケーションやプラットフォーム、データ、AI、インフラ、セキュリティで構成される。アプリケーションとプラットフォームにより、顧客体験を数値化/データ化し、クラウド上に集積してAIで解析し、事業価値の創出に生かす。これにより、事業ドメインの取捨選択や事業機能の変革に迅速/機動的に応じられるだけでなく、事業展開や機能変化を通じた新たなデータの獲得と事業横断でのデータ活用が行えるという。

デジタルコアのイメージ[クリックで拡大] 出所:アクセンチュア

 「組織・企業を超えた共創型の働き方」は企業を超えた共創を前提とした働き方だ。廣瀬氏は「共創の流れについて一例を挙げると、CEOによる野心的なビジョンとチェンジマネジメント(イノベーション/横断的な働き方)に共感したパートナー企業と業界/社会課題の解決に挑戦する。そして、個別組織の利害を超えた協働を行う。業界/社会課題を解決する共創の場では、その取り組みに共感した優れた人材を獲得し、技術力を高めるとともに知見を集めていく」と述べた。

共創型の働き方のイメージ[クリックで拡大] 出所:アクセンチュア

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.