TCS23のCPUはTCS22から全て刷新された。フラグシップの「Cortex-Xシリーズ」は「Cortex-X4」、従来の「Cortex-Aシリーズ」におけるbig.LITTLE構成のbigコアは「Cortex-A720」、LITTLEコアは「Cortex-520」となり着実な進化を遂げている。Cortex-X4は、TCS22の「Cotex-X3」と比べて15%の性能向上を果たした。同一プロセスで製造した場合の消費電力はCortex-X3比で40%低減できるという。また、Cortex-A720はTCS22の「Cortex-A715」と比べて電力効率が20%向上、Coretx-A520はTCS21から採用している「Cortex-A510」と比べて電力効率が22%向上している。TCS23では、複数コアから成るCPUクラスタの制御を最適化するDSU(DynamIQ Shared Unit)も「DSU-120」に刷新されている。
TSMCとの提携により最先端の製造プロセスでの検証も実施しており、Cortex-X4については3nmの「N3Eプロセス」によるテープアウトも行われている。これらの他、システムIPの「Arm CoreLink CI-700」も、TCS22からシステム全体の最適化を施してメモリ遅延を25%削減している。
CPUとGPUの組み合わせによるAI(人工知能)処理性能の向上に向けた取り組みも進めている。推論エンジンのプラットフォーム「Arm NN」や機械学習のライブラリ「Arm Compute Library」はオープンソースソフトウェアとして公開するとともに四半期ごとに更新を続けている。「スマートフォンアプリでAI活用が進む中で、ArmアーキテクチャはAIプラットフォームとして既にx86を上回っている」(中島氏)という。
これらの他、2012年から始まったArmにおける64ビット化がこれまでの約10年でかなりのレベルで浸透していること、セキュリティ技術である「MTE(Memory Tagging Extension)」の採用が中国のスマートフォンメーカーなどで始まっていることなどが紹介された。
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