豊かな社会を実現するDNPの提供価値としては、硬度、屈曲性、耐擦傷に優れ、フォルダンディスプレイの表面に適した「フレキシブルHCフィルム」、原料の一部にサトウキビ由来の材料を使用した植物由来包材「バイオマテック」などを展示中だ。
コラボレーションに向けた製品では、新薬と食品有効成分の開発に役立つ「ミニ腸」や作物の栽培に貢献する「DNPフレキシブルLEDシート」などを紹介している。ミニ腸は、DNP独自のパターニング技術を施した培養基板の表面にヒトIPS細胞を散布することで作成した腸のように動く組織で、人の腸に近い物質の吸収と応答を行うため、新薬と食品有効成分の開発を後押しする。
DNPフレキシブルLEDシートは、薄くて軽く折り曲げられ、LEDの配置をカスタマイズできるため、省スペースで作物に均一な光を照射可能だ。
DNP コーポレートコミュニケーション本部担当 サステナビリティ推進部担当の杉田一彦氏は、「印刷、パッケージ、フィルム、エレクロニクス、建材などのさまざまな技術や製品を展示することで、来場者したパートナー企業が、DNPの製品や技術の活用方法を把握しやすくしている。さらに、新たな用途での利用をDNPに提案し、共創につなげられるようにしている」と話す。
体験ゾーンは、「ブループリントスタジオ」「みらいの暮らし」「コ・ラーニング」といった3つのエリアで構成される。ブループリントスタジオは、「バックキャスティングエリア」と「フォーキャスティングエリア」から成り、DX(デジタルトランスフォーメーション)が実現すると予測されている2030年の暮らしを、LEDディスプレイを用いた映像などで表現している。
バックキャスティングエリアでは、デジタルツイン技術によりデジタル空間上のアバターが仕事や買い物などを行い、現実空間上の人間がランニングなどで余暇を楽しむ未来をイメージしたアニメーションを複数のLEDディスプレイを組み合わせて投映している。
フォーキャスティングエリアでは、「SEAMLESS WORLD 現実とバーチャルの境界がない社会」「ONE KEY FOR EVERYTHING ひとつのカギで、何でもできる世界」「SOLUTION BEYOND COMPLEXITY 膨大な情報から瞬時に導き出される最適な選択肢」「INNOVATION CREATING BY NEW WORKSTYLE 働き方の改革から生まれる新しい価値」といったそれぞれのキーワードをモチーフに作成された4つのオブジェを展示している。
一例を挙げると、ONE KEY FOR EVERYTHINGでは、1つの認証プラットフォームで、解錠、決済、契約、移動などで求められる認証に対応できる未来を表現している。
みらいの暮らしでは、顧客とともにデザインの検証が行える空調シミュレーション機能を搭載したスペースだけでなく、「サステナブル」「フレキシブル」「エキスバンド」「カスタマイズ」といったそれぞれのキーワードをモチーフに作られた未来の生活空間を展示中だ。例えば、カスタマイズでは、複数の球状のクッションから成るベッドを設けた寝室やロボットを下部に搭載しリモコンなどで移動させられる本棚を配置した読書空間を用意している。
コ・ラーニングは、4テーマ「編集」「私」「社会」「世界」に基づき選定された本を陳列した「知のインデックス棚」、3つのキーワード「Re:Design」「Re:Verce」「Re:Work」を意識した書籍を配置した「テーマ棚」、DNPのグループ会社である丸善雄松堂と編集工学研究所が2022年に開発したと更新型の一畳ライブラリー「ほんのれん」といった本棚に囲まれた空間で、さまざまな書籍を通して対話や未来に関する議論が行えるようになっている。
また、P&Iラボ・東京でパートナー企業から引き出した課題のテーマ化を行う際は、DNP市谷加賀町第3ビルの2階にある「共創ゾーン」でディスカッションやワークショップなどを実施するという。
DNP コーポレートコミュニケーション本部 プレゼ・コラボ推進室 室長の間々田修一氏は「P&Iラボ・東京は、『技術』『パッケージ開発』『空間開発』『出版』『共創』といったそれぞれのキーワードをテーマとした東京都内の5つのP&Iラボを集約した共創施設で、当社の各事業で展開している製品を紹介している。これにより、オールDNPとして、プリンティングとインフォメーションの強みを掛け合わせやすくするとともに、パートナー企業と『対話と協働』を行えるようにしている」と述べた。
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