大日本印刷(DNP)は、コンデンサや抵抗器などの受動部品を内蔵したマザーボードを開発し、薄型化・小型化が求められるスマートフォン向けに2012年6月より本格販売を開始する。
高機能・高性能で便利なスマートフォンだが、いざ使おうと手に取ってみるとバッテリー残量が10%を切っている……、なんてことも珍しくはない。機種によっては予備バッテリーが付属するものもある。
単純に性能に見合う容量のバッテリーを積めばいい話なのかもしれないが、近年のトレンドを反映し、薄型化・小型化が進む機種を見ても分かる通り、余分にバッテリースペースを確保するのは困難だ。
では、どうしたらよいか。搭載する電子部品をさらに薄型化・小型化するしかないのだろうか。
こうした課題に対し、大日本印刷はコンデンサや抵抗器といった受動部品をマザーボードに内蔵するアプローチをとる(画像1)。
同社が保有する部品内蔵プリント基板の量産技術をベースに、今回12〜14層と多層化し、より多くの部品を内蔵できるようにした。これにより、一般的なスマートフォンのマザーボードに搭載される500〜600個の電子部品のうち、およそ半数の受動部品を内蔵でき、従来比10〜30%の小型化を実現できるという。さらに、受動部品を内蔵することで、マザーボード表面の能動部品(ICチップなど)との接続距離も短くなるため、電気特性が安定して信頼性が向上するというメリットも享受できる。
2011年10月から先行して特定ユーザー向けに提供(画像3)を開始。2012年6月より正式販売を開始することを発表した(2012年6月6日発表)。同社は、今後さらに、受動部品および能動部品を内蔵したマザーボードの開発も進めていく方針も明らかにしている。スマートフォン用マザーボードを含む部品内蔵プリント基板事業全体で、2013年度に40億円の売り上げを見込む。
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