DNPは、Android搭載端末に対応した高セキュリティmicroSDカード「TinySmart(タイニースマート)」開発キットを10月に発売。モバイル機器側にmicroSDカード用スロットがあれば、ICカードと同様のセキュリティ機能を専用リーダーライターなしで利用できる。
大日本印刷は2011年9月21日、Android搭載端末に対応した高セキュリティmicroSDカード「TinySmart(タイニースマート)」開発キットを10月に発売すると発表した。価格は、10万円(パッケージ一式/税別)となる。
同社は、2009年11月にICカード用マルチOSを搭載したMULTOS版 TinySmartを、2011年1月に独自OS搭載のDNP Standard-9 V5版 TinySmartを開発。その後、「自社の機器やシステムで利用できるTinySmart向けアプリケーションを独自開発したい」という企業ニーズを受け、Windows環境向けのTinySmart開発キットを2011年1月に発売している。今回発表された製品は、そのAndroid環境向けバージョンとなる。
TinySmartは、ICカード用の高セキュリティな基本OS、セキュアチップと大容量Flashメモリを搭載したmicroSDカード。TinySmartに搭載されているセキュアチップは、キャッシュカードやクレジットカード、電子マネー、ポイントサービス、ネットワーク認証などの用途で利用されているICカード用高セキュリティチップが用いられている。TinySmartの形状は通常のmicroSDカードと同一であるため、モバイル機器側にmicroSDカード用スロットがあれば、ICカードと同様のセキュリティ機能を専用リーダーライターなしで利用できる。
同開発キットには、TinySmartとデバイスドライバなどが含まれており、TinySmartを装着したAndroid搭載端末での本人認証やデータの暗号化など、ICカードと同様の機能を利用したアプリケーションの開発が行える。例えば、モバイル機器からイントラネットへログインするシステムや、大容量コンテンツあるいは重要文書を暗号化して格納・表示するアプリケーション、モバイル機器を紛失した場合に機密情報を保護するセキュリティシステムなどを容易に実現できるという。
開発キットのパッケージ内容と、製品仕様(表1)は以下の通りだ。
製品 | TinySmart DNP Standard-9 V5版 | TinySmart MULTOS版 |
---|---|---|
microSDインタフェース | SD Association規格に準拠 | SD Association規格に準拠 |
暗号方式 | RSA 2048bit、SHA256、AES、DES、Triple-DESなど | RSA 2048bit、SHA256、AES、DES、Triple-DESなど |
Flashメモリ | 2Gバイト、4Gバイト | 2Gバイト |
EEPROM | 144kバイト | 36kバイト |
伝送プロトコル | T=1 | T=0、T=1 |
搭載OS | DNP Standard-9 V5 | MULTOS |
その他特長 | JICSAP v1.1準拠 | PKIアプリをROMに標準搭載 |
今後同社は、TinySmartのAndroid版開発キットを国内外のSI(システムインテグレーター)や機器メーカーなどの幅広いユーザーに販売し、TinySmartとその周辺ビジネスで、3年間で約15億円の売り上げを見込んでいるという。また、TinySmartをハンディターミナルなどの業務専用端末で使用するための組み込みOS用ドライバの開発も予定しているとのこと。
なお、同社は、企業での重要文書を安全に閲覧するためのソリューションとして、TinySmartと組み合わせたAndroid版アプリケーション「TinySmart ebook viewer」を開発し、2011年10月19日から東京国際フォーラムで開催される「金融国際情報技術展(FIT2011)」に出展する。
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