ヤマハ発動機は新たなクリームはんだ印刷機「YRP10」を2023年8月1日に発売する。
ヤマハ発動機は2023年5月19日、同年8月1日に発売する新たなクリームはんだ印刷機「YRP10」に関する説明会をオンラインで開催した。
小型、高密度、高機能化の流れが加速する電子部品実装工程では、超小型チップ部品や狭ピッチ電極部品などの採用が増加しており、プリント基板にソルダーペーストを塗布するクリームはんだ印刷工程の難易度が格段に増している。ただ、印刷工程では高い技術が求められる段取り替え作業に多くの人手が割かれており、人手不足などを背景とした省人化のニーズが高まっていた。
YRP10は剛性に優れた「YRシリーズ」のプラットフォームを採用した。印刷工程から印刷にかかる時間などを除いたコアサイクルタイムで6秒という高速印刷性能を備えながら、新しく業界標準となるCeTaQの測定器を用いたヤマハ発動機の測定では±6σ:±16μm Cpk≧2.0という「現状では世界最高の精度」(ヤマハ発動機 ロボティクス事業部 SMT営業部 織田健太郎氏)となっている。
材質、形状を見直した新スキージ採用の3Sヘッド(Swing Single Squeegee)により印刷品質が向上した。ヤマハ発動機独自の3Sヘッドはサーボモータを搭載しており、スキージのアタック角度と速度をプログラムにより任意に設定、変更でき、使用するはんだに応じた最適条件で印刷が可能となる。スキージの素材と形状を見直したことで、マスクの長寿命化をはじめ、ローリング性と充填力の向上、はんだ貼り付き低減などを実現した。
マスクのステンシル部を吸着固定することで、マスクフレームのゆがみとステンシル部の伸びの影響を低減するマスク吸着機能により、基板とマスクを密着させて安定した高精度印刷を行う。
デュアルレーン仕様では、レーンそれぞれを完全に独立して運用および自動段取りを行うことができる。420×330mmの大型基板もデュアルレーンで生産可能、基板取り数やキャリア搬送個数を増やすことで生産効率を一層高めることができる。
基板を下方から支持するプッシュアップピンの自動交換機能は最大200本のピンが配置可能で、420×420の大型基板にも対応する他、5mmピッチ仕様に加え、ピン配置自由度が高い2.5mmピッチ仕様に対応する。
マスク自動交換機能では新たに600×550、550×650のマスクに対応する。はんだ自動供給システムは従来の6オンスに加え、12オンスのはんだシリンジヘッドに対応し、長時間の印刷機の稼働が可能になる。
プッシュアップピン自動交換、マスク自動交換、はんだ自動移載、はんだ自動供給の機能はいずれもオプションとなる。「YRシリーズ」プラットフォームとして、産業用機器OSでは最新のWindows 10を搭載している。
今回のYRP10の発売によって「YRシリーズ」の印刷機、実装機「YRM20DL」、検査装置「YRi-V」のラインアップがそろうことになる。ヤマハ発動機 ロボティクス事業部 SMT営業部 鳥井直哉氏は「YRシリーズでフルデュアルレーンのラインが組めるようになった。それぞれのレーンで違う製品を生産したり、片方で段取り替えをしながら、もう片方は生産を続けたりすることができる。全てWindows10 Enterprise LTSCを搭載しており、同じGUIで操作性も向上している。ユーザーにとっては大きなメリットになる可能性は高い」と語る。
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