伊藤氏は、アステラス製薬内におけるさまざまなアナリティクスの取り組みの中から「経営計画2021達成のための各目標達成度のモニタリング」「製品の安定供給のための需要分析」「限られたデータ下での投資判断に資する情報の提供」を紹介した。
「経営計画2021達成のための各目標達成度のモニタリング」は、経営計画の中で進められているさまざまなプロジェクトの進捗状況に関するデータについて、経営戦略に役立つ洞察をタイムリーに得るためのダッシュボードである。データ入力からその視覚化までに要する時間を、従来の3日間から15分に削減したという。
「製品の安定供給のための需要分析」では、需要分析に用いられる時系列アルゴリズムを8つ用意し、製品ごとに各アルゴリズムを相対比較して最適なものを自動的に選ぶようにした。「先述した中期計画の目標設定や進捗管理ではシミュレーションやモデリング技法が中心だが、ダッシュボードや需要分析は過去や現在のデータに答えを語らせるようなデータサイエンスの技術になる」(伊藤氏)という。
一方、「限られたデータ下での投資判断に資する情報の提供」では、研究開発の初期段階における価値評価や投資判断のための情報を出すことを目的に、金融工学から派生した事業評価の手法である「リアルオプション」を適用しつつ、シナリオシミュレーション手法でより高度な評価を実現していう。また、Pythonベースの計算プログラムの最適化によって価値評価をより短時間で行えるようになっている。
伊藤氏は「現時点で提供できているのは部分的な適用となるポイントソリューションだが、今後はエンドツーエンドで有機的につながり、“価値”を最大化できる姿を目指していく」と述べている。
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