サステナブル設計とは? デジタルモノづくりとの関連性サステナブル設計とデジタルモノづくり(1)(1/3 ページ)

地球環境に配慮したモノづくりの実践はあらゆる企業に課せられた重要なテーマの1つだ。本連載では、サステナブル設計の実現に欠かせないデジタルモノづくりにフォーカスし、活用の方向性や必要な考え方などについて伝授する。

» 2023年03月27日 09時00分 公開

 皆さん、こんにちは! 小原照記(おばらてるき)と申します。普段は岩手県の「いわてデジタルエンジニア育成センター」という施設で、3D CADを中核としたデジタルエンジニアの育成と“企業さんのお困りごと”を聞いて支援する仕事をしています。当センターでは3D CADをはじめとしたさまざまなデジタルモノづくりに関する設備を保有しており、学生や企業の方たち向けに講習会を開催したり、3Dプリンタでの試作や3Dスキャナーを使用しての検査、リバースエンジニアリングなどの受託を行ったりしています。

 本連載では、3D CADやCAE、3Dプリンタなどのデジタルモノづくりを活用した「サステナブルな設計」についてお伝えしていきます。どうぞよろしくお願いします。

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サステナブルとは? SDGsとの関係性

 「サステナブル(Sustainable)」とは、「持続する」を意味する“sustain”と、「可能」を意味する“able”を組み合わせた言葉で「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味を持つ言葉です。サステナブルが名詞化した言葉で「サステナビリティ(Sustainability)」があり、直訳すると「持続可能性」となります。

 現代社会において、サステナブルは「地球環境を壊すことなく、経済成長を両立させながら、安定的な社会づくりを目指す」といったような意味合いで使われています。つまり、私たちは美しい地球を保ち続けるための設計や仕組みを考えて行動することが求められています。

 世界の人たちが共通の目標として取り組んでいる「SDGs」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。SDGsとは“Sustainable Development Goals”の略称で「持続可能な開発目標」を意味します。2030年までに持続可能な社会をつくるために、「17の目標」と「169のターゲット」で構成されています。「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」や「目標12:つくる責任 つかう責任」など、モノづくりとの関連が深い目標も含まれています。

SDGsにおける17の持続可能な開発目標の一覧 図1 SDGsにおける17の持続可能な開発目標の一覧[クリックで拡大] 出所:外務省

 サステナブルとSDGsの違いは、SDGsは国連によって決められた国際目標であり、サステナブルは一般的な理念に当たる言葉になります。つまり、サステナブルな設計を行うことがSDGsへの取り組みにもつながるというわけです。

サステナブル設計とプラスチック資源循環促進法

 サステナブルな設計の取り組みの1つの例として、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(以下、プラスチック資源循環促進法)の施行が挙げられます。

 プラスチック資源循環促進法とは、プラスチック使用製品の設計から廃棄処理に至るまでの各段階において、プラスチック資源循環(3R[Reduce、Reuse、Recycle]+Renewable)の取り組みを促進するための措置を講じた法律のことで、2021年6月に公布され、2022年4月1日から施行されています。

3R+Renewableについて 図2 3R+Renewableについて[クリックで拡大]

 プラスチック使用製品製造事業者が取り組むべき事項および配慮すべき事項として、具体的には、プラスチックの使用量の削減、部品の再使用、再生利用を容易にするためのプラスチック使用製品の設計、またはその部品もしくは原材料の種類の工夫、プラスチック以外の素材への代替、再生プラスチックやバイオプラスチックの利用などが挙げられています。

 取り組むべき事項に「構造」に関する指針があり、製品の減量化や包装の簡素化、長寿命化などの検討事項があります。「材料」の指針では、プラスチック以外の素材への代替え、再生プラスチックやバイオプラスチックの利用などの検討事項が記載されています。

(左)「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」/(右)「プラスチック使用製品設計指針」に記されている取り組むべき事項 図3 (左)「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」/(右)「プラスチック使用製品設計指針」に記されている取り組むべき事項[クリックで拡大] 出所:環境省

 その他にも、製品のライフサイクル評価や情報発信および体制の整備、関係者との連携などの事項が記載されています。プラスチック部品を設計していない人が読んでも勉強になる内容ですので、ぜひ一度読んでみることをオススメします。

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