サステナブルなモノづくりを支える技術やアプローチに注目したい2023年MONOist 2023年展望(1/4 ページ)

プラスチック資源循環促進法の施行を契機に、設計者CAEによるバーチャルなモノづくり/設計と解析のシームレスな連携の重要性が高まっています。また、再生プラスチックを利用した製造技術としてペレット式大型3Dプリンタの存在感も注目です。

» 2023年01月06日 07時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 昨年(2022年)のトピックスの1つとして、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(以下、プラスチック資源循環促進法)の施行が挙げられます。

 プラスチック資源循環促進法とは、プラスチック使用製品の設計からプラスチック廃棄物の処理に至るまでの各段階において、プラスチック資源循環(3R[Reduce、Reuse、Recycle]+Renewable)の取り組みを促進するための措置を講じた法律のことで、2021年6月に公布され、2022年4月1日から施行されています。

2022年4月1日に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環促進法) 2022年4月1日に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環促進法)[クリックで拡大] 出所:環境省

 国内におけるプラスチック資源循環のさらなる取り組みが重要視され、プラスチック製品を製造する事業者は、包括的な資源循環の体制強化やその実現がこれまで以上に強く求められることになります。

 プラスチック資源循環促進法では、プラスチックのライフサイクル全体で関わりのある全ての事業者、自治体、消費者が相互に連携し、プラスチックの資源循環に取り組むことが重要だとし、設計/製造、販売/提供、排出/回収/リサイクルといった各ライフサイクルで措置事項が設けられています。

 ライフサイクルのうち設計/製造に目を向けてみると、措置事項として「プラスチック使用製品設計指針」が示されており、プラスチック使用製品の設計における留意事項などが定められています。

 取り組むべき事項の1つ“構造”に関する指針では、製品を減量化して使用する材料を少なくしたり、過剰包装を抑制して簡素化したり、強度やメンテナンス性を高めて長寿命化を図ったり、再資源化しやすいように単一素材を使用したり、分解/分別が容易な構造にしたりなど、設計に関わる事項が多く記されています。

「プラスチック使用製品設計指針」に記されている取り組むべき事項(1)構造 「プラスチック使用製品設計指針」に記されている取り組むべき事項(1)構造[クリックで拡大] 出所:環境省

 また“材料”に関する指針では、製品に使用する材料をプラスチック以外の素材に置き換えたり、再生利用が容易な材料を使用したり、再生プラスチックやバイオマスプラスチックを利用したりなど、プラスチック製品を製造する事業者が取り組むべき事項が定められており、こちらも製品設計に大きく影響する内容になっています。

 ここでプラスチック資源循環促進法やプラスチック使用製品設計指針の詳細を掘り下げることは割愛しますが、プラスチック製品を製造する事業者は、これら環境配慮要件を満たしつつ、これまでと同様に限られた製品開発期間の中で品質と性能も併せて作り込む“サステナブルなモノづくり”に取り組まなければなりません。

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