サステナブルなモノづくりを支える技術やアプローチに注目したい2023年MONOist 2023年展望(3/4 ページ)

» 2023年01月06日 07時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

サステナブルなモノづくりの大本命!? ペレット式大型3Dプリンタ

 次に、プラスチック使用製品設計指針の“材料”に関する取り組むべき事項に注目してみると、実際に、プラスチック以外の素材への代替や再生プラスチック、バイオマスプラスチックの利用などを行うとなると、材料技術の進化だけでなく、新たな加工/製造技術の確立も欠かせません。

 特に、再生プラスチックを利用した製造技術として注目しておきたいのが、昨年(2022年)展示会などで大きな話題となったペレット式の大型3Dプリンタの存在です。3D付加製造機「EXF-12」を独自開発するExtraBoldは、2022年6月に開催された「日本ものづくりワールド 2022」において、EXF-12の実機展示に加え、樹脂材料リサイクル(リペレッタ)の実演デモを訴求していました。

ExtraBoldの3D付加製造機「EXF-12」 ExtraBoldの3D付加製造機「EXF-12」[クリックで拡大]

 EXF-12は、充填(じゅうてん)された樹脂ペレット材を、射出成形スクリューを応用した独自設計のヘッドによって熱溶解押し出し積層造形する工業用の大型3D付加製造機です。1時間当たり15kgの最大吐出量を誇り、最大1700×1300×1000mmもの造形物を作り出せます。材料もABS、PP(ポリプロピレン)、PLA(ポリ乳酸)、エラストマーなどの熱可塑性樹脂(ペレット材)だけでなく、リサイクルペレットなどを材料として利用することが可能です。

 また、ExtraBoldでは、EXF-12の実運用を想定した樹脂材料リサイクルの研究開発も進めており、同展示会ではホロン精工のプラスチック粉砕機「COMPACK」と空冷式造粒機「e・PELLETER」を活用した実演デモを披露し、粉砕したフレーク状の樹脂からバージン材と同形状のペレット材に再生される様子を紹介していました。

「日本ものづくりワールド 2022」では樹脂材料リサイクルの提案として、ホロン精工のプラスチック粉砕機「COMPACK」と空冷式造粒機「e・PELLETER」の実演デモを披露していた 「日本ものづくりワールド 2022」では樹脂材料リサイクルの提案として、ホロン精工のプラスチック粉砕機「COMPACK」と空冷式造粒機「e・PELLETER」の実演デモを披露していた[クリックで拡大]

 3Dプリンタによる付加製造は、もともと切削加工などと比較して材料のムダが少ない製造技術だといわれていますが、再生プラスチックの利用が可能な装置(ペレット式大型3Dプリンタ)とリペレッタの組み合わせによって、より環境に配慮したモノづくりが実現できるようになります。サステナブルなモノづくりが求められるこれからの時代、大きな可能性を秘めた製造技術の1つだといえるのではないでしょうか。

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