プロジェクションARはプロジェクターの組み立て工程でも使用している。光学ユニットの組立工程において、光軸調整用のモニターをプロジェクションARに置き換え、調整画面と組み立て手順書の投影を同時に行うようにしている。従来は液晶モニターを設置して活用していたが、より大きく表示することができ調整作業や作業内容の把握をやりやすくしている。
山形カシオでは、工程内でのさまざまな活用の他、工場内の案内表示などでもプロジェクションARの活用事例を試している。例えば、通路の案内表示をプロジェクションARにより動的に表示することで、タイムリーな案内を行うことが可能としている。
その他、展示製品上にプロジェクションARで重ねて映像を映す華燭表示を行ったり、パリティーミラーの活用により製品の3Dモデルを空中に表示させ、リープモーションセンサーでその製品に触ることができるデモなどを行っていた。
山形カシオでは「魅せる化プロジェクト」での用途開拓を進める一方で、工場内で成果が得られそうなところはプロジェクションARの導入を広げていく。山形カシオの加藤氏は「外観検査プロジェクションAR作業ガイドは今は作業ガイドとしての役割だが、出来栄えの評価など付加機能なども拡張できると考えている。活用するアイデアを実際に工場内の運用の中で生み出していくのが理想だ。人が間違えやすいところで使いどころを考えていきたい」と述べている。
一方、カシオ計算機では、これらの山形カシオでの実践の成果などを生かして、工場での用途開拓と導入事例の拡大を進めていく計画だ。「カシオ計算機だけで、工場内の課題解決を直接解決するところまで進めていくのは難しいため、課題を抱える工場の生産技術部門や、工場向けのシステムインテグレーターなどと組んで進めていく。合わせて、より幅広い用途で活用できるような機能拡張を進めていく」とカシオ計算機の中河氏は今後の取り組みについて語っている。
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